アメリカ演劇学科 の講座「ニール・サイモンの世界」の第3回『はだしで散歩』です。講座全体の予定については講座概略のページをご参照下さい。(2016年9月19日)
アメリカ演劇学科講座
ニール・サイモンの世界
第3回
『はだしで散歩』
講師:小島真由美 (演劇学部専任講師)
<目次>
1. 解説
2. 初演
3. ストーリー/登場人物
4. 映画『裸足で散歩』
5. 日本での上演
6. 注釈
1. 解説
ニール・サイモンが第2作の主人公をどんな魅力的な人物にしようかと考えを巡らせていた時、ふと気づいたのが妻ジョーンの存在でした。彼女の「温かさ、ユーモア、情熱、ユニークさ」 (1) を舞台で表現すればいいんだとひらめいた彼は、ジョーンをモデルにしたコリーを主人公に『はだしで散歩』を書き上げます。
この『はだしで散歩』を書き始めた頃、サイモンは『リトル・ミー』(1962)というミュージカルの台本を依頼されて執筆しています。しかし劇作家としての第2作は『はだしで散歩』です。ブロードウェイで第1作以上の大ヒットとなり、劇作家ニール・サイモンの地位はここに確立されました。約3年半、1530回のロングランは2016年の現在でもブロードウェイのストレート・プレイの記録で歴代10位、戦後の上演でも4位となります。ちなみに第1位は1939年のハワード・リンゼイ、ラッセル・クラウス共作の古き良き家族劇『父と暮せば』でした。 (2) 興行面ばかりでなくトニー賞でも評価され、演出家のマイク・ニコルズが最優秀演出家賞を受賞しました。
『父と暮せば』をマネして『はだしで散歩』に副題をつけるとすれば、「夫と暮せば」といったところ。まだ家具も運ばれていないアパートの新居を舞台に新婚のカップルとその母親、風変わりなアパートの住人らが織りなすおかしな日常風景がウィットに富んだせりふと共に描かれています。
サイモンはこの劇について次のように説明しています。「私はいつでも人物たちに、彼らが予想していなかった障害物 、彼らの計画を邪魔する邪魔者を用意する。人物たちの暮らしが難しくなるだけでなく、彼らを滑稽な状況に追い込む。そんな厄介な状況だ。」『はだしで散歩』の場合は、これが空のアパートだった。それも階段のない五階の部屋。玄関前の階段を勘定に入れると六階である。」 (3)
『カム・ブロー・ユア・ホーン』で笑いを生んでいた障害物 は、主人公の兄弟の部屋にタイミング悪く現われる家族でした。これはよくファルスに見られる手法で、浮気現場に妻や予想外の人物が訪ねてきて主人公が真っ青になって隠れる、というようなパターンです。『はだしで散歩』ではアパートの五階までの階段が障害物 。笑わせてくれるのは、とにもかくにも階段を上がってきてヘトヘトになっている人たちの姿です。
劇の原題はBarefoot in the Park 「公園で裸足に」。これは主人公のコリーが何でも自由奔放にしてしまう女性で、公園で裸足になったという言及が台詞にあるからです。逆に夫のポールは弁護士で真面目で常識の枠からははみ出ることがない性格。障害物だけでなく、異なる価値観の対立がサイモン劇に笑いだけでない面白さと深みを与え始めました。この講座では戯曲集の邦題に合わせて『はだしで散歩』とひらがな表記にしていますが、映画の邦題は『裸足で散歩』になっています。
人生は障害物競争。公園を裸足で散歩なんて、そんなバカなと思うかもしれません。でもそんな自由奔放な行動にこそ、障害物 を乗り越えていくパワーがあるのかもしれません。でも行き過ぎはいけないし、実際のところどちらが正しいのでしょうか。そう言えばサイモンはバーナード・ショウの言葉を伝記の中で引用していました。「対立者はどっちが正しいか観客が考えられるように同程度にすべし。」 (4) この対立が生む面白さは3作目の喜劇『おかしな二人』へと引き継がれていきます。
映画『裸足で散歩』の冒頭場面
2. 初演
初演
1963年10月23日〜1967年6月25日
劇場: Biltmore Theatre
上演回数: 1530回公演 (プレビュー2回)
演出: Mike Nichols
CAST :
Elizabeth Ashley...Corie Bratter
Robert Redford... Paul Bratter
Kurt Kasznar...Victor Velasco
Mildred Natwick...Mrs. Banks
Herbert Edelman...Telephone Man
Joseph Keating...Delivery Man
3. ストーリー/登場人物
・写真: ウイニペソーキー・プレイハウス
(ニュー・ハンプシャー州、メレディス)
2013年 (演出: ブライアン・ホルペリン) (5)
・台詞:鈴木周二訳 『はだしで散歩』
『ニール・サイモン戯曲集 I 』早川書房/1986
戯曲冒頭のト書きには、主人公のコリー とポール が新婚生活を始める部屋の舞台装置や小道具が次のように指定されています。
(三番街近くの東48丁目、古いブラウンストーンのビルの最上階にある、広い一室だけのアパート。部屋には家具がなにもなく、脚立、雫(しずく)受けの布、空っぽのペンキ罐がぽつんと置いてあるだけ。大きな天窓があり、2月の陽射しが明るく差し込んでいる。) (6)
この部屋はアパートの五階にありますが、この上に屋根裏の部屋があり、そこにはヴィクター・ヴェラスコ という58歳の自称室内装飾家が住んでいます。自分は世界の名立たるセレブが所属するクラブのメンバーだと話しますが、どこまでが本当か分からない風変わりな人物です。なにせ彼は家賃を滞納して部屋に入れないと言ってくるぐらいですから。このヴェラスコ 氏、二人の部屋の寝室経由で自分の部屋に入らせてくれとコリー に頼んできます。窓の外の出っ張りを伝わって行くというのです。 天井には天窓があり、穴が空いていて風が吹き込んできます。こうした部屋の普通じゃない状況がサイモンの言うところの「障害物」として設定されていて、劇の終幕ではとてもおかしな効果を生み出します。
この部屋に最初に入ってくるのは、新居での生活を楽しみにしているコリー 。浮き浮き気分で花束をかかえての登場です。五階までの階段を昇ってきたなんてとても思えません。若さあふれる元気一杯の女性です。次に電話を取り付けに電話会社の男 がやってきます。彼はぜいぜいあえぎながら電話会社の者だと名乗り、すごい階段だとつらそうに最初のひと言。 しかしまだ彼は支障なく階段を昇れたほうでしょう。次に登場するのは包みを届けに来る配達人 の男なのですが、この男を60代前半と作者が指定しているからです。彼は息も絶え絶えで言葉が出ず、包みを渡すだけで部屋を出て行きます。
こうしてここに階段の喜劇が始まります。続いて登場する夫のポール も、コリーの母親(バンクス夫人) もかなりつらそうに最初の姿を見せるため、コリー の溌剌とした気丈な性格や発言が目立っていくばかりです。
母親 やれ、やれ。
コリー それほどの昇りでもないでしょ、お母さん。
母親 そう。まあね。 …だけど、いったい何階なの? 九階?
ポール 五階です。ビルの外のは勘定に入れないんです。
母親 とても昇りきれるとは思いませんでした。 …もし三階に知り合いでもいたら、そこへお邪魔して… (8)
この階段の喜劇がいかに笑えるものか、とても良く分かる舞台の映像があります。シアトルのムーア劇場で1981年に1週間だけ上演されたBarefoot in the Park です。公演の録画映像は1982年にHBOテレビで放映されました。日本語字幕はありませんし、画質は良くありませんが、観客の笑いや劇場の雰囲気がリアルに伝わって来る貴重な映像です。全編収録されていますが、冒頭10分ほど観るだけでもこの喜劇の面白さが伝わってくると思います。
Stage Barefoot in the Park (1981) (9)
VIDEO
こうした大変な階段をコリーと同様に物ともしないのが、第1幕の最後で登場する、上の階の住人ヴェラスコ 氏です。長くこのアパートに住んでいるせいか、とても落ち着いていて紳士的なのですが、人の家の寝室と窓を通って部屋に入るという行動は尋常なものではありません。コリー が裸足で散歩をする人なら、ヴェラスコ 氏は窓から帰る人。第1幕は彼が窓の外に現われ、ポールに楽しそうに手を振って進み続けるところで幕となります。
第2幕第1場では、このヴェラスコ氏をコリーが家に招き、ちょっとしたパーティーの場面となります。ヴェラスコ氏はバンクス夫人に挨拶をします。
ヴェラスコ お目にかかるのを心待ちにしておりました。お嬢さんをカクテル・パーティにお招きしたのですが、一晩じゅう、出るのはあなたのお話ばかりで。 (10)
パーティーでもコリーは常に陽気で元気一杯。一人ではしゃいでばかりで、ヴェラスコ氏おすすめのアルバニア料理の店にみんなで行こうと言い出します。続く第2場はレストランから戻ってきたところから場面が始まり、とうとうコリーについて行けなくなったポールと、羽目をはずそうとしない夫に我慢できなくなったコリーの夫婦喧嘩が始まります。
第3幕では、ヴェラスコ氏に前の晩に送ってもらって帰ったはずの母親が家に帰っていなかったことを知ってコリーが心配していると、バンクス夫人はヴェラスコ氏のバスローブを着て戻ってきます。 酔ってめまいがして、ヴェラスコ氏が連れ戻そうと抱き上げてくれたのですが、階段の途中で彼も倒れてしまい、他の部屋の「みなさんが私たちを助け上げて…(中略)…それから目が覚めたら、ヴィクター(ヴェラスコ氏)がいないの。ところが、私はそこで…あの方のバスローブを着ている。」 (11)
バンクス夫人はヴェラスコとの出会いで自分を解放できている様子。しかしポールとの不仲を相談された夫人は、良き母としてのアドバイスも忘れる事はありません。
コリー 終ってしまったのよ、お母さん。彼は行ってしまったの。 (…中略…) 私が出て行けと言ったのですもの。言ってしまったのよ。私の馬鹿な、この大きな口が。 (12)
母親 あの人のために、あなたを少し押さえればいいのよ。なにもかも楽しもうとはしないこと。 …(中略)… そして彼のめんどうを見てあげる。あの人が、自分は大切な人間なのだという意識を持てるようにしてあげる。それができれば、幸せな、すばらしい結婚生活が送れるでしょう。 (13)
母親から夫婦生活の知恵を得たコリー。そこへぐでんぐでんに酔ったポールが帰宅。コリーがそうしたように自分も裸足で公園を散歩してきたと言います。そんな夫にコリーは愛を誓うのですが、ポールは天窓へ登ってしまい、さらにはそこで動けなくなってしまい…。とここまでにして結末だけは見てのお楽しみにしておきますが、以下の映画化の解説では原作と映画のラストを比較したネタバレになっていますので、ご注意下さい。
4.映画化
『裸足で散歩』
(Barefoot in the Park/1967年)
<アメリカ映画/1時間45分>
監督:ジーン・サックス
制作:ハル・B・ウォリス
脚本:ニール・サイモン
撮影:ジョセフ・ラシェル
音楽:ニール・ヘフティ
<出演>
ジェーン・フォンダ…コリー
ロバート・レッドフォード…ポール
シャルル・ボワイエ
…ヴィクター・ヴェラスコ
ミルドレッド・ナトウィック
…エセル・バンクス (母親)
ハーブ・エデルマン…電話会社の男
メイベル・アンダーソン
…ハリエット (エセルの姉)
日本公開: 1968年
DVD: パラマウント・ホームエンタテインメント・ジャパン
(2010/03/26発売)英語字幕付
IMDbでの評価 7.0 (2016/9/9)
アカデミー賞受賞・候補
助演女優賞ノミネート (ミルドレッド・ナトウィック)
アパート到着前のコリーとポール
冒頭のタイトルバックはニューヨーク、セントラルパーク近辺を走る観光用の馬車。映画がまず強調して見せてくれるのは、コリーの並々ならぬエネルギーです。走行中の馬車の座席から立ち上がり、心配するポールを構うことなく「私たち結婚したの!」と元気一杯に周囲に手を振ります。彼女は手にしていた花束を道端にいた警官に投げ、受け取った警官は「結婚したそうだ」とにこやかに本部に報告します。
馬車はニプラザ・ホテル前に着き、御者は到着を伝えますが、コリーは降りようとするポールを制して「まだキスの途中よ。」と再び濃厚なキスを続けるのでした…。
常に冷静なポールに対して、コリーは熱愛を隠すことがありません。チェックインの際にもつないでいた手を離さないので、ポールは「ちょっと、手を使うから…」とことわりを入れなければならないほど。“Please do not disturb”の札をドアノブにかけて5泊6日。ホテルの部屋にこもりっきりのハネムーンが終り、部屋からひと足早く仕事に出るポールのキスの仕方にコリーは不満げな様子です。部屋の前で「今のがキス? 本気でしてくれないなら、ここで脱ぐわよ。」とまで言い出す始末です。
ラブラブ気分が絶えることがないコリーは、アパート1階入口にある部屋別の呼び鈴の名前をペンで線を引いて消してしまいます。そしてその上に「ブラッターの恋人たち」と書き直してしまうほどロマンティックな気分に浸っているのでした。このように映画には、アパートに到着するまでの場面が追加されていて、常に気持ちと行動がずれることがないコニーの性急さがかなり強調されています。
アパートの住人たち
映画はヴェラスコ氏だけでなく、アパートの他の住人の様子もちらりと見せてくれます。例えばポールが酒屋の主人から聞いたという4階Dの住人。ここ三年間部屋からは出てくることがなく、部屋の前に毎朝マグロの缶が9個も並べられているという謎の住人です。顔は映らないものの、階段を昇る際にポールがこの妙な住人に気づきます。あるいは泥酔し警官の付き添いで帰宅した夫・・・かと思って観ていると、実は警官の方が酔っ払って帰宅した夫だったという場面など、おかしな住人だらけのおかしなアパートの映画にもなっています。
アルバニア料理のレストランへ
戯曲を映画化する場合、原作通りだと室内のみの単調な映像の連続になってしまいます。そこで原作では会話の中でしか出てこなかった外での挿話をシナリオに追加する傾向があります。この映画で最大の追加場面は、ヴェラスコ氏と共に一家がフェリーに乗ってレストランに出かける場面でしょう。コリーはレストランでダンサーらと共に陽気に踊り出し、その明るさは衰えることを知りません。逆にコリーと溌剌なヴェラスコ氏についていけないのが、ポールとバンクス夫人。二人はくたくたになって帰宅し、ソファでぐったりとなる、という第2幕第2場の場面へとつながります。
“見る人” と“する人” の大げんか
原作の場面(第2幕第2場)と台詞をほぼ忠実に再現しているのがコリーとポールの口論です。今夜の外出を「馬鹿げた騒ぎ」と考えるポールは、母親がヴェラスコ氏に送られて帰っていったことも心配で、二人の仲を期待するコリーと考え方が対立します。
コリー あなたは、いったい生活を楽しむことができるのかしら、と心配しているの。
ポール どうして? 冬に手袋をはめたいと思うからかい?
コリー いいえ、そのわけはね、あなたには冒険心が少しもないからなの。あなた、自分ってものがわかってるの? あなたは、ただ見てる人。世の中には見る人とする人がいるだけ。 見る人は、する人がやってみるのを、ただ坐って眺めているのよ。 今夜のあなたは見てただけ、やってみたのは私よ。 (14)
結婚する前は、きちんとネクタイを締めて眠ってたんじゃない? (15)
いや、それほどでも。正式に眠るときだけさ。 (16)
コリー あなたは馬鹿げていない。それが問題なのよ。木曜の夜がそうだった。あなたはワシントン・スクエアー公園で、私といっしょに裸足で歩こうとしなかった。(17)
ポールが公園で裸足に
夫婦喧嘩の末、ポールは家を飛び出してしまいます。原作では語られるのみで観客が目にすることのない公園での二人を、映画では実際に見ることができます。ワシントン・スクエアでやけになって酒を飲んでいたポールをコリーは見つけますが、酔ったポールは靴を脱ぎ、裸足で公園を歩き始めてしまうのでした。
部屋には何とか戻ったものの酔ってふらふらのポールは、窓から出て行き天窓の上に登ってしまいます。映画は部屋の内外のカットを交互に見せながら、二人の愛のクライマックスを盛り上げていきます。
ポール ぼくは、このアパートのみんなと同じような変人になりたいんだ。
コリー だめ。だめよ、ポール。…あなたには変人になんかなってもらいたくない。下りてきてほしいだけよ。
ポール 君のことを嫌だなと思ったときでも、愛していたよ。
コリー だから、お願い。…お願いだから、下りてきて。
ポール 下り…下りられないよ。…今は。
コリー あら、どうして?
ポール 吐きそうなんだ。
コリー あら、だめよ。
ポール いや、かまわないよ。
コリー ポール。動かないで。私も行って、助けてあげる。
原作ではこわがるポールに対して、歌を唄って怖さを忘れてとコリーが励まします。そして「私が行くまで、歌をやめてはだめよ。」と言われた通り、ポールが歌い続けているところで幕となります。映画では通行人が下から大勢見守る中、コリーがポールの元へ無事到着。キスをした二人は町の人々から拍手をもらってジ・エンドとなります。いずれも演劇と映画それぞれの味を出していてラブ・コメディにふさわしいエンディングになっています。
最後に俳優たちの演技にふれておきましょう。コリーを演じたジェーン・フォンダは名優ヘンリー・フォンダの娘。親子でオスカーを受賞しています。先に受賞したのはジェーンの方(『コール・ガール』)でした。1960年代の彼女はセクシーな若手女優というイメージ(『バーバレラ』など)が強く、『裸足で散歩』でも原作より精悍でセクシーなアピールが強いコリーになっています。
ポールを演じたロバート・レッドフォードは、同じポール役でブロードウェイでの舞台にも出演していました。大きく表情を変えることがない人で、まじめな役柄をまじめに演じるのがレッドフォードでした。まるでポール役を忘れることなく二枚目人気スターの道を歩んでいったのではと思えるほどです。強盗役(『明日に向って撃て』)や詐欺師役(『スティング』)の時でさえ、常に物静かで沈着冷静な二枚目として演技を披露していました。
ヴェラスコ氏役のシャルル・ボワイエはフランス出身。1930年代からマレーネ・デイトリッヒ、グレタ・ガルボ、イングリット・バーグマンなど名立たる女優たちと共演してきたハリウッド・スターの一人です。『ガス燈』『ファニー』などで4回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。喜劇役者ではありませんが、ヴェラスコ役を余裕で演じているようにも見えます。
母親役を演じたミルドレッド・ナトウィックは他の三人ほど有名ではありません。しかし同じ役を舞台でも演じていた女優さんなので、母親役の喜劇的な味わいを見事に感じさせてくれる演技です。この映画で唯一アカデミー賞にノミネート(助演女優賞)されたのがナトウィックでした。
では最後に映画『裸足で散歩』のアメリカ初公開時の予告編(Trailer) 19) を観てみたいと思います。本編もDVDでぜひご覧になってみて下さい。
VIDEO
5. 日本での上演
☆ 1979年2月8日〜19日(三百人劇場)
『裸足で公園を』
企画製作=劇団昴
演出=樋口昌弘/ 翻訳=島川聖一郎
出演=北島マヤ (コリー)
藤木敬士 (ポール)
福田公子 (ミセス・バンクス)
西本裕行 (ヴェラスコ)
関時男 (電話会社の男)
日和田春生 (荷物配達人)
☆ 1984年10月1日〜85年12月25日
(下北沢ロングラン・シアター)
*1年3か月間のロングラン
『裸足で散歩』
企画制作=本多劇場+平井事務所
演出=小林裕 (芸術選奨新人賞受賞)
戸田恵子(コリー)
矢島健一(ポール)
木村有里、斎藤昌子
(母親/ダブル・キャスト)
湯浅実(ヴェラスコ)
渡辺力(電話修理人)
☆ 1990年2月10〜19日
(シアターVアカサカ)
『裸足で散歩』
企画制作=オフィス・シルバーライニング
演出=小林裕
翻訳=小田島雄志・小田島若子
白木美貴子 (コリー・ブラッター)
矢島健一 (ポール・ブラッター)
斎藤昌子 (ミセス・バンクス)
犬塚弘 (ヴィクター・ヴェラスコ)
渡辺力 (電話修理人)
川北良介 (配達人)
(写真:劇場パンフレットより)
☆ 1999年2月21日〜3月9日
(銀座セゾン劇場)
『裸足で散歩』
企画制作=PARCO
演出=大野木直之
翻訳=小田島雄志・小田島若子
石田ひかり (コリー)
内野聖陽 (ポール)
草笛光子 (母親)
宝田明 (ヴィクター・ヴェラスコ)
☆ 2003年10月30日〜11月5日
(俳優座劇場)
『裸足で散歩』
企画制作:劇団NLT
演出:小林裕/ 翻訳:斎藤偕子
今津朋子(コリー)
渋谷哲平(ポール)
木村有里(エセル)
渡辺力(電話工事人)
霜山多加志(配達人)
池田勝(ベラスコ)
6.注釈
(1) 『ニール・サイモン自伝 書いては書き直し』(早川書房/1997)p.107
(2) Wikipediaのリストによる (2016年9月18日) https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_the_longest-running_Broadway_shows
(3) 同上,p.124
(4) 同上,p.267
(5) 『ニール・サイモン戯曲集 I 』 p.139
(6) 同上,p.142
(7) 同上,p.163
(8) Barefoot in the Park , 1982 (Director: Harvey Medlinsky) Richard Thomas as Paul, Bess Armstrong as Corie, Barbara Barrie as Mrs. Ban ks, and Hans Conreid as Velasco, James Cromwell as Harry Pepper, Dick Arnold as Delivery Man ( https://www.youtube.com/watch?v=PekFjgnd6H4 )
(9) 『ニール・サイモン戯曲集 I 』 p.201
(10) 同上,p.249 / (11) 同上,p.257
(12) 同上,p.258 / (13) 同上,p.220
(14) (15) (16) 同上,p.222
(17) 同上,p.264