シェイクスピア 愛の名言集

  • 2018.05.10 Thursday
  • 20:50

 

     シェイクスピア 愛の名言集

 

作品名に続くカッコ内の数字は第何幕(Act)第何場(Scene)か、セリフがその場面の何行目にあるか(line)、どの登場人物のセリフかを示す。原文はThe Alexander Text (1951)より引用。翻訳は拙訳による(広川)。「恋の喜び」と「恋愛のトラブル」をテーマに各9つのせりふを引用。

 


 

 

  PART 1 恋の喜びを語る9つの名せりふ 

 

 

 1. 恋の始まりは、変わりやすい4月の天気

   のようだ。

  O, how this spring of love resembleth

  The uncertain glory of an April day!

  ― The Two Gentlemen of Verona

   (1, 3, 84-85, Proteus)

    

 2. 自分から求めて得た恋もよいが

  相手から求められた恋の方がずっとよい。

  Love sought is good, but given unsought,

     is better.

  ― Twelfth Night

    (3, 1, 153, Olivia)

 

 3. 恋人に会う時は、授業が終わった時の

   ように浮き浮き気分。

  でも恋人と別れる時は、学校へ行く時の

   ように沈んだ気分。

  Love goes toward love, as school-boys

   from their books,

  But love from love, toward school

   with heavy looks.

  ― Romeo and Juliet,

   (2, 2, 156-57, Romeo)

 

 4. 恋する者は、自分にできる以上の事をして

   みせると誓うもの。

  All lovers swear more performance than

   they are able.

  ― Troilus and Cressida

   (3, 2, 81, Cressida)

 

 5. 狂人も、詩人も、恋人たちも、

   みな想像力に支配されている。

  The lunatics, the lovers, and the poets,

  Are of imagination all compact.

  ― A Midsummer Night’s Dream

   (5, 1, 7-8, Theseus)

 

 6. 恋は明日のものでなし、

   今この時の喜びなり。

  What is love?  ’Tis not hereafter;

  Present mirth hath present laughter.

  ― Twelfth Night

   (2, 3, 46-47, Clown)

 

 7. 愛は目で見るものではなく、

   心で見るもの。

  Love looks not with the eyes but

   with the mind.

  ― A Midsummer Night's Dream

    (1, 1, 234, Helena)

 

 8. 愛するのもほどほどに。

   長続きする恋はそういうもの。

  Therefore love moderately:

   long love doth so.

  ― Romeo and Juliet

   (2, 6, 14-15, Friar)

 

 9. 恋が盲目というのなら、

   暗い夜こそふさわしい。

  If love be blind,

  It best agrees with night.

  ― Romeo and Juliet

   (3, 2, 9-10, Juliet)

 


 

 

 PART 2 恋愛のトラブルを語る9つの名せりふ

 

 1. 恋は盲目だから、恋人たちは自分たち

   している愚かな事が見えない。

  Love is blind, and lovers cannot see

  The pretty follies that themselves commit.

  ― The Merchant of Venice

   (2, 6, 36-37, Jessica)

 

 2. 誠の恋の道は、なかなか思うように

   進まないもの。

  The course of true love never did

   run smooth.

  ― A Midsummer Night’s Dream

    (1, 1, 134, Lysander)

 

 3. 恋は優しいものではない。激しく

   荒々しく乱暴に人の心を揺らし、

   茨のごとく人を刺す。

  Is love a tender thing?  It is too rough,

  Too rude, too boist'rous; and it pricks

   like thorn.

  ― Romeo and Juliet

   (1, 4, 25-26, Romeo)

 

 4. 愛する心を見せないのは愛してない証拠。

  愛を見せびらかすのは愛情が少ない証拠。

  They do not love that do not show

   their love.

  O, they love least that let men know

   their love

  ― Two Gentlemen from Verona

   (1, 2, Julia & Lucetta)

 

 5. どれくらいなどと言える愛は

   卑しいものだ。

  There’s beggary in the love that can be

   reckoned.

  ― Antony and Cleopatra

   (1, 1, 14-15, Antony)

 

 6. 愛情を示さないでいると、

   愛されなくなってしまう。

  The ostentation of our love,

   which left unshown

  Is often left unloved.

  ― Antony and Cleopatra

   (3, 6, 52-53, Caesar)

 

 7. 恋とは何て力強いものだろう。

   野獣を人間に変えてしまう事もあれば、

   人間を野獣に変えてしまう事もある。

  O powerful love!  

  That in some respects makes a beast

    a man; in some other a man a beast.

  ― The Merry Wives of Windsor

   (5, 5, 4, Falstaff)

 

 8. 恋は影法師のごとく、

   いくら追っても逃げていく。

   逃げれば追ってきて、

   追えば逃げてしまう。

  Love like a shadow flies when substance

   love pursues;

  Pursuing that that flies, and flying

   what pursues.

  ― The Merry Wives of Windsor

   (2, 2, 187-88, Ford)

 

 9. 男が恋をささやく時は4月のよう。

   だが結婚してしまえば12月。

   女は結婚前は5月のよう。

   しかし結婚後は空模様が怪しくなる。

  Men are April when they woo,

  December when they wed;

   maids are May when they are maids,

   but the sky change when they are wives.

  ― As You Like It

   (4, 1, 131-34, Rosalind)

 


 

恋人たちのシェイクスピア (1)

  • 2018.05.13 Sunday
  • 18:00

 

  シェイクスピア学科・映像文化学科共同講座

 

    

 

 第1部映画で引用されるシェイクスピア

 

     講師:広川 治 <全12回>

   

      ⇒  講座概要・予定へ

 

 

 

         第2回 

    恋人たちのシェイクスピア

 

  <目次>

 

  いつか晴れた日に

  (ソネット116番)

  ホリデイ

  (十二夜ヴェニスの商人夏の夜の夢)

  25年目のキス

  (お気に召すまま/ヴェニスの商人)

  初恋の想い出

  (ロミオとジュリエット)

  美女と野獣

  (ロミオとジュリエット)

  シェイプ・オブ・ウォーター

  (“シェイクスピア”)

 


 

『いつか晴れた日に』

ラブ・ストーリーでシェイクスピアの作品が引用され、恋人同士の間で共有され、二人の仲が深まっていくきっかけとなる映画がある。『いつか晴れた日に』(1995)の原題は『分別と多感』(Sense and Sensibility)。18世紀イギリスの小説家ジェイン・オースティンの同名小説の映画化である。理性的で何事にも慎重なエリノア・ダッシュウッド(エマ・トンプソン)の妹マリアンヌ(ケイト・ウィンスレット)は姉と正反対の性格で、情熱的な世界に憧れを抱いている行動的な女性。ある日、マリアンヌは丘を駆け巡り、勢い余って転んでしまい、足を挫いてしまう。するとちょうどそこへ若い男性が通りがかり、彼女を家まで抱きかかえて運んでくれたうえ、心配なので翌日また様子を伺いに訪れると言って立ち去る。近隣の屋敷に移ってきたばかりのウィロビーというその男性は、貴公子のごとく野花を手に翌日現れる。そこでウィロビーが注目したのが、テーブルの上に置かれていたシェイクスピアの『ソネット集』(ソネット=14行詩)。彼はマリアンヌにお気に入りの詩は何番かと尋ね、116番だと彼女が答えると、その詩を暗誦し始める(翻訳:字幕より)

 

 Let me not to the marriage of true minds

 Admit impediments. Love is not love

 Which alters when it alteration finds,

 Or bends with the remover to remove.

 O no! it is an ever-fixed mark

 That looks on tempests and is never shaken;

 

  誠実な人の結婚に

  障害はない。

  移り気で別の相手に心惹かれるようでは

  愛とは言えない。

  愛とは不動の標識で、

  どんなに激しい嵐が吹き荒れても…

 

このあたりでウィロビーは続きを思い出せず、マリアンヌと共に思い出そうとする。彼はポケット版ソネット集まで持ち歩いており、別れ際にプレゼントだと彼女に渡して去っていく。

 

『ソネット集』(1609)は全154編中、そのほとんど(ソネット第1番から126番まで)が、シェイクスピアが詩を献じた青年に語りかける内容のソネットとなっている。青年の美しさを賛美したり(18番「君を夏の日の一日にたとえようか…」)、人生の何たるかを説いたり、結婚を勧めてみたりと、時に恋人のように、またある時は父親、そして哲学者のように語りかけて詩を綴っている。実際のところ、どういう関係の人物に献じた詩なのか不明なため、同性愛を読み取る事もできれば、架空の人物を設定した「時と愛」を主題にしたドラマと解釈する事もできる。いずれにしても、各ソネットは普遍的な愛や人生を歌った一編の詩として時代を越えて読まれてきている。

 

文学好きな二人はこの出会いをきっかけに仲を深め、楽しい夏のひと時を共に過ごす。しかし映画の後半、マリアンヌにとって「愛とは不動の標識」ではなくなってしまう。彼女が再びこのソネットを口にする場面が映画後半に用意されているが、その文句は丘の上から空ろに響くものになってしまう。

 

原作『分別と多感』は同じ作者の代表作『高慢と偏見』や『エマ』に比べると、やや平板で地味な展開の小説である。だがエリノアを演じたエマ・トンプソンによる脚色(アカデミー賞脚色賞を受賞)はロマンティックな要素を強調し、物語をドラマティックなものにしている。この脚色の小道具として効果的に機能しているのが、シェイクスピアの『ソネット集』であり、第116番なのである。原作にはこのソネットの件(くだり)は出てこない。映画はソネットの表現“true minds”を主題にしたドラマとして優れた作品に仕上がっている(ベルリン国際映画祭金熊賞受賞)。

 

 

 写真上: ウィロビー(グレッグ・ワイズ)とマリアンヌ

 写真下: ケイト・ウィンスレット演じるマリアンヌが

       見せる微笑みと悲しみの表情

    

  ​


 

『ホリデイ』

 

  

 

『いつか晴れた日に』でマリアンヌを演じたケイト・ウィンスレットはこの映画の公開当時、注目の新人女優だった。翌年にはケネス・ブラナー監督・主演の『ハムレット』(96)にオフィーリア役で出演。さらに『タイタニック』(97)でレオナルド・ディカプリオと共演し、一躍有名スターとなった。その後も小説家アイリス・マードックの若き日々を演じた『アイリス』、ジョニー・デップが『ピーターパン』の作者ジェイムズ・バリーを演じた『ネバーランド』など、良作に恵まれて女優として成長し、2008年には『愛を読むひと』でアカデミー賞主演女優賞を受賞している。

 

このケイト・ウィンスレットが2006年に出演した『ホリデイ』という作品がある。恋愛で傷ついた英米の二人の若い女性がインターネット上の「ホーム・エクスチェンジ」というサイトでお互いの家を交換してクリスマス休暇を過ごし、運命の相手に出会うというロマンティック・コメディである。この映画はケイト・ウィンスレット扮するアイリスという英国人女性のナレーションで始まるのだが、早速以下のようにシェイクスピアのセリフが引用されている。

 

 (字幕)

 愛に関する格言は ほとんど すべて真実だ

 シェークスピアいわく“愛に出会えば旅は終わる”

 ステキな言葉

 そんな経験 私はないけど

 シェークスピアはあったはずよ

     

 私は愛について よく考えるの

 愛は人生を変えるほど すごいパワーがあるわ

 “恋は盲目”とも言うし

 この格言は真実よ 保証するわ 

 

 (原文)

     I have found almost everything ever written about love to be true.  Shakespeare said, “Journeys end in lover’s meeting.”  Oh, what an extraordinary thought!   Personally, I have not experienced anything remotely close to that, but I’m more than willing to believe Shakespeare had.

 

     I suppose I think about love more than anyone really should.  I’m constantly amazed by its sheer power to alter and define our lives.  It was Shakespeare who also said, “Love is blind.”  Now that is something I know to be true.

 

「愛に出会えば旅は終わる」というのは、喜劇『十二夜』の中で道化フェステが唄う歌の歌詞の一部。喜劇全体の結末を予言しているような一節である。もちろんラブ・コメディというのは主人公の二人が結ばれて終わるものだが、シェイクスピア喜劇の場合は2〜3組の恋愛エピソードが平行して進み、複数のカップルの結婚で終わる構成になっている。「恋は盲目」の方は『ヴェローナの二紳士』『ヴェニスの商人』からの引用。後者では「恋は盲目で、恋人たちは自分たちが犯す小さな失敗が見えなくなる。」(Love is blind, and lovers cannot see the pretty follies that themselves commit.)というセリフになっている。

 

『夏の夜の夢』では表現を変えて「恋は目でなく心で見るもの。だからキューピッドには目がないのね。」(Love looks not with the eyes, but with the mind. And therefore is winged Cupid painted blind.) 『夏の夜の夢』では妖精パックが恋人たちのこじれた関係を修復しようとして魔法の恋薬を用いるが、使う相手を間違えてしまう。その結果恋人たちは本来好きでなかった相手を好きになってしまい、彼らの関係はますますこじれたものになってしまうという喜劇だ。​

 

この「恋は盲目」の部分の引用を日本語字幕では“この格言”と訳している。実際、シェイクスピアの作品は、まさに格言のごとく真実を言い当てたセリフに満ちあふれている。それらは人生、死、嫉妬、裏切り、友情など、ありとあらゆる主題に及んでいるが、中には次のように面白い表現のものもある。

 

 Love goes toward love, as school-boys

 from their books,

 But love from love, toward school

 with heavy looks.

 恋人に会う時は、授業が終わった時のように

 浮き浮き気分。

 でも恋人と別れる時は、学校へ行く時のように

 沈んだ気分。

        ―『ロミオとジュリエット』より

 

こうした恋愛に関するシェイクスピアの名セリフを「シェイクスピア 愛の名言集」として別ページに18句ほどまとめてみたので、ぜひ味わってみてほしい。『ホリデイ』のアイリスが語るように「この格言は真実よ 保証するわ」と実感を持って言えるものがあるだろうか。

 


 

『25年目のキス』

シェイクスピアが授業の教材として出てくる『25年目のキス』という映画がある。女性記者(ドリュー・バリモア)が高校生になりすまし、今時のハイ・スクールの様子を潜入取材しようとする。彼女はインテリで知識は豊富なものの、ファッション・センスのないOLで恋愛経験もゼロ。25歳の彼女が二度目の高校生活でどう変わっていくのかを描いた1999年のラブ・コメディである。原題は“Never Been Kissed”。

 

   

 

この映画には、授業で先生がシェイクスピアの喜劇『お気に召すまま』の一節を読ませ、そのセリフを解説する場面がある。だが映画の先生の解説にふれる前に『お気に召すまま』の内容を確認しておこう。主人公ロザリンドはオーランドーと出会い、互いに一目惚れとなるが、家族関係のこじれから叔父である公爵に追放されてしまい、前公爵だった父親が暮らすアーデンの森へ向かう。その際にロザリンドは自分の身を守るために男装をするのだが、再会したオーランドーの前でも男として振る舞い、その結果、友人として彼に自分自身への恋のアプローチの方法をアドバイスする事になる。このストーリーラインを前提として、以下のように授業が始まる。

  

 先生: 「世界はひとつの舞台、男も女も役者にすぎない。」

これが言わんとすることは何か? 分かる人? 変装することだ。役を演じること。それが『お気に召すまま』のテーマだ。じゃあ、どの部分に現われているか挙げて。

 学生: はい。それはロザリンドが男に変装して森の中に逃げるところです。

 先生: そうだね。彼女は男を装ったからこそ、オーランドーへの愛を表現できた。シェイクスピアはこう言ってるわけだ。人は変装することで、より自由になれる。(DVD吹替より)

 

こう言ってこの先生は、アメフトならユニフォームを着てこそ強くなれるとスポーツの例も挙げ、自分の少年時代の話を始める。

 

     

 

 先生: 自分は少年時代、アイス・ホッケーをやっていたが、本当に気が弱かった。でもある時、父親に有名選手のサイン入りのヘッドギアを買ってもらった。それをつけるようになってからは、敵にとびかかっていくようになったんだ。…変装することで人の心は解放され、普段はできそうにないことができるようになる。ロザリンドも男装することで生涯の愛を手にするきっかけを作れた。

 

このラブ・コメディでドリュー・バリモア扮する女性記者ジョジーはこの先生と恋におちるのだが、作品からの朗読を指名され、彼女は“二人は見つめ合ったとたんとたん…”(5幕2場)で始まる一目惚れを描写するセリフを読むことになる。ジョジーは自分こそシェイクスピアの詩にパワーをもらい、ロザリンドのように変わっていこうと決意する。最初は妙な女子学生として気持ち悪がられていたジョジーだが、次第に学生たちの中で人気を得て、人気のイケメン男子に誘われ、プロムに参加する事になる。そのプロムの今年のテーマが「運命の恋人たち」と決まり、当日の夜、会場は歴史上、文学史上のカップル、または映画やアニメの登場人物たちでにぎやかに盛り上がる。ジョジーはここでも『お気に召すまま』にこだわり、ボーイフレンドと共にロザリンドとオーランドーに仮装して登場。二人ともその年のプロム・クィーンとキングに選ばれる。

 

クィーンとしてキングとダンスを踊っている時に、「何を考えてるの?」と聞かれたジョジーは「シェイクスピアのこと。彼はこんな夜をこう描いたわ。」と言って『ヴェニスの商人』からのセリフを口にする。「空はまるで輝く床。輝く黄金の小皿をはめこんだよう」。これは『ヴェニスの商人』の最終幕で恋人同士が星で輝く夜空を眺めながら語られるセリフである。ここではシェイクスピアが美しい詩の言葉で表現した幸福感を通して、映画のヒロインの気持ちが伝えられている。このように『25年目のキス』では、「変装」をキーワードに、人生を切り開いていくロザリンドと主人公が重ね合わされ、人は新たな自分になり得るというメッセージが伝えられている。

 

 

 ⇒ 恋人たちのシェイクスピア  続きへ

 

 ⇒ 映画の中のシェイクスピア  講座予定へ

 

 ⇒ 第1回 シェイクスピアってヤバくない?

 

 


 

  

恋人たちのシェイクスピア (2)

  • 2018.05.13 Sunday
  • 18:30


 

『初恋の想い出』

2005年の中国映画『初恋の想い出』は「中国版ロミオとジュリエット」と呼べる作品かもしれないが、『ロミオとジュリエット』の翻案ではない。シェイクスピアの描いた恋人たちに自分たちの境遇を重ね合わせていくカップルの物語である。対立する家族の息子と娘の恋という設定は同じものの、二人の出会い方も、展開や結末も異なっている。作品には主人公のカップルが手にして読む戯曲、映画館で観るフランコ・ゼフィレッリ監督の映画化、そしてバレエのステージという三種類の『ロミオとジュリエット』が登場する。

 

     

 

舞台は1980年代の中国。同じ官舎に育った高校生のホウ・ジアとチー・ランは、学校へ行って会えるのが楽しみで、互いに相手を異性として意識し始める。ホウ・ジアの父親は彼が幼い頃に自殺していたが、チー・ランの父親に責任があると母親から知らされる。しかしホウ・ジアもチー・ランも互いの親からその詳しい事情を教えてもらうことができないまま、交際を禁じられてしまう。チー・ランは自分の父親に責任があるなら、私が代わりに謝るとまで言って、自分のつらい気持ちをホウ・ジアに伝える。二人の間には溝ができてしまい、親の言われるまま会わない日々が続いてしまうが、相手への思いは逆に募るばかりだった。

 

二人は会わない日々が続いたまま大学生となるが、ある日チー・ランは母親が読んでいた『ロミオとジュリエット』の本を読み始める。“「ロミオとジュリエット」は知ってたが、本を読んだのは初めてだった。このラブストーリーに私は感動した。私たちに何とよく似た話だろう。道しるべを見つけたような気がした。”と彼女の声がナレーションとして流れ、感動して涙を流すチー・ランのアップとなる。

 

    

 

彼女はホウ・ジアに本を届ける。すると、二人の交互のナレーションでセリフの一節が朗読され、切ない毎日を過ごす二人の場面に重ねられていく。ここで読まれるのは、ロミオとジュリエットが互いの思いを語り合うバルコニーの場面の「名前」に関するセリフである。実際にチー・ランがバルコニーに立つカットも挿入される。(以下引用は字幕より)

 

 ホウ・ジア: “私の仇は、ただあなたの名前だけ。たとえ名前は違っても、あなたはあなた。”

 チー・ラン: “名前が一体、何だと言うの? 手でもなければ足でもない。腕でも顔でも、身体のどの部分でもない。どうかお願いです。他の名前になって。薔薇の花は別の名で呼ばれても、その香りに変わりはないはず。あなたが名を変えても、あなたに変わりはない。どうか名前を捨てて。その代わりに私のすべてをお取りになって。

 ホウ・ジア: “おお、愛しの君よ、僕にとっても憎い名前。君が仇と言う名だから。紙に書いてあれば破り捨ててしまいたい。” “怪我をしたことのない者は、他人の傷を嘲笑う。あの窓からもれる光は? あれは東の空。ジュリエットは太陽なのだ。”僕たちの物語みたいだ。昔の物語なのに。

 チー・ラン: つまりそれは、諦めないということね?(ホウ・ジアは頷く。)

 

こうして、対立する二つの家族の息子と娘でありながらも愛を貫きとおした恋人たちの物語が、自分たちの恋愛が普遍的なもので、決して間違ったものではないと証明してくれる心の拠り所になっていく。作品の感動は共有され、今までにない一体感が二人に生まれる。その結果、ますます恋愛感情が高まり、相手への思いは募っていくのである。

 

   

 

二人は密かにデートを重ねる。ホウ・ジアのナレーションが彼の心の声を伝える。「僕らの楽しかった日々… 親の目から逃れ、将来のことも考えず、2人きりの時を満喫した日々。親の仇など自分たちに関係ない。子の代で解決するのだと思っていた。チー・ランは言った。“親のために恋を諦めたら、ロミオとジュリエットの死と変わらない。心を殺すのはもっと悲しい」と。

 

だが二人は、密会しているところをホウ・ジアの母親に目撃されてしまい、「ある事件で父さんは捕まり、チー・ランの父は昇進した」と母親は息子に教えるが、ホウ・ジアはそれ以上の事は聞き出せない。再び会えない日々が続いてしまう二人だが、卒業前にホウ・ジアが借りっぱなしになっていた『ロミオとジュリエット』の本をチー・ランに返しに来る。その際に彼は『ロミオとジュリエット』の映画が映画館で上映されていると伝え、彼女を映画に誘う。

 

  

 

映画館の場面で二人が観ているのは舞踏会の出会いの場面。オリビア・ハッセー演じるジュリエットが楽しそうに踊っている姿や、ニーノ・ロータ作曲の有名な主題歌が中国語の吹替で流れる中、出会いの場面が実際に映し出される。この映画鑑賞を機に、二人のロミオとジュリエット熱が再燃する。

 

    

 

 ホウ・ジア: 自分たちの境遇と似ていることから、シェイクスピアに夢中になった。あらゆる『ロミオとジュリエット』の舞台や本や写真を見まくった。主人公の2人に自分たちを投影させて、互いの気持ちのよりどころになっていた。

 

しかし「シェイクスピアと違って僕らの物語は何度も変わった」とホウ・ジアのナレーションが入るように、二人には死という悲劇的結末すら訪れない。二人で薬を飲んで心中を図ろうとするが未遂に終わり、二人の間は再び両親に引き裂かれてしまう。ホウ・ジアはアメリカに留学してしまい、チー・ランは父親と対立し、暗い顔しか見せない日々が続く。しかし二人の間の手紙のやり取りだけは続き、ホウ・ジアの手紙には、何か国もの『ロミオとジュリエット』をアメリカで集めたと知らせるものもあった。

 

7年が過ぎ、ホウ・ジアは帰国して母親と新居で暮らすことになるが、チー・ランには会いに行かなかった。そんな時、二人が互いが同じ劇場で鑑賞しているとは知らないのが、バレエ版の『ロミオとジュリエット』なのである。チー・ランは考える。「なぜこの物語と自分を切り離せないのか」と。

 

終盤、チー・ランの父親が末期がんになってしまう。シェイクスピアの戯曲とは大きく異なるのは、主人公二人の家族への思いもしっかり描かれているところである。ホウ・ジアとチー・ランは、あこがれの悲劇のカップルと同じ道をたどることは、決して許されない。再会できる距離にいながらも、会うことをためらい続ける二人。「シェイクスピアの物語は僕たちを共にしたが、再びめぐり会うことはあるのだろうか。」とホウ・ジアは考える。そして二人の再会と愛の結末は意外な形で突然訪れる。

 

『初恋の想い出』は英語題名はA Time to Love だが、中国語の原題は『情人結』。「情人」は Qíngrén (チィン・レェン) という発音で 「恋人、愛人」という意味。「結」はjiē (ヂィエ) という発音で「結び目、関係」あるいは「関係を作る」という意味。となると、「情人結」は「恋人たちの絆」という題名にもなるだろうか。この絆を強く結んだのがこの映画では『ロミオとジュリエット』なのである。「情人結」という表現はヴァレンタイン・デイを意味する「情人節」と同じ発音Qíngrénjiéとなる。映画のラスト・シーンもヴァレンタイン・デイ。この日写真館で、ホウ・ジアとチー・ランは一枚の記念写真を撮ってもらう事になり、その写真の二人の姿が最後のカットとなっている。

 

   

 


 

『美女と野獣』

ディズニーの実写版Beauty and the Beast (2017)の冒頭でヒロインのベル(エマ・ワトソン)が手にしていた本は『ロミオとジュリエット』である。ベルは村の人々でごった返している朝の通りを1人歩いていて、村のジャンというおじさんに声をかけられる。

 

 Jean: Good morning, Belle. Where are you off to?

 Belle: To return this book to Pere Robert. It’s about two lovers in fair Verona.

 Jean: Sounds boring.

 

 ジャン:おはよう、ベル。お出かけかい?

 ベル:ロベールさんにこの本を返しに行くの。美しいヴェローナの町が舞台のラブ・ストーリーよ。

 ジャン:つまらんな、そんな話は。

 

1991年のアニメ版の方でベルは『ロミオとジュリエット』を手にしておらず、『ジャックと豆の木』を読んでおり、「豆の木と鬼の話」を読んだと話している。次に実写版では、ロベールさんの家に着き…。

 

 Robert: Ah, if it isn’t the only bookworm in town. So, where did you run off to this week?

 Belle: Two cities in Northern Italy. I didn’t want to come back!

 

 ロベール: やあ、本の虫のお出ましだ。今週の本の旅はどうだったね?

 ベル: 北イタリアで二つの町を訪れたの。戻りたくなかったわ。

 

ここでベルが言う二つの町とは『ロミオとジュリエット』の舞台となっているヴェローナとマンチュアの事である。『ロミオとジュリエット』はヴェローナが舞台の作品だが、途中でロミオは追放となり、マンチュアに移る。

 

アニメの方では、城の中でベルが野獣と『ロミオとジュリエット』を読む場面がある(スペシャル・エディションのみ)。シェイクスピアの読み方までベルは指導していて、野獣は渋々『ロミオとジュリエット』のプロローグを読み始める。実写版ではエマ・ワトソンが「私の好きな劇は『ロミオとジュリエット』なの」と言い、セリフを暗誦し始める。すると途中からセリフの続きを野獣が言うので、ベルは「あなたシェイクスピア好きなの?」と言って微笑む。しかしシェイクスピアの恋人たちが、対立する二つの名家の息子と娘であるように、ベルと野獣の間にも高い壁が立ちふさがる。特に実写版では新曲“Evermore”で野獣がその苦しい胸の内を歌い上げ、悲しみの歌声が塔の上から響き渡っていた。

 

『ロミオとジュリエット』からの引用やカップルへの言及は、私見だが『ハムレット』と並んで最も多いように思える。最近ではジム・ジャームッシュ監督の『パターソン』(2016)でも、主人公の詩人(アダム・ドライヴァー)が毎晩立ち寄る酒場の店主が客の男女を指して、ロミオとジュリエットにたとえていた。カー・アクション映画『ベイビー・ドライバー』(2017)では、主人公(アンセル・エルゴート)と恋人(リリー・ジェイムス)を追い詰める悪役が二人を冷やかにからかい、「ああロミオ、ロミオ、なぜあなたはロミオなの?」(O Romeo, Romeo! Wherefore art thou Romeo?)というジュリエットのセリフを口にする。最近ますます「ロミオとジュリエット」が目立ってきているように感じるのは、今が分断の世だからだろうか。

 

 

  写真上)「美女と野獣」(2017) のエマ・ワトソン

  ​

 

 

「ジュリエットと恋人のロミオの話ほど悲しい物語は他にはないわ。」

 


 

『シェイプ・オブ・ウォーター』

2017年度アカデミー賞、作品賞・監督賞(ギレルモ・デル・トロ)ほか4部門受賞作。原題The Shape of Water。口のきけない女性と謎の半魚人の恋を描いており、サスペンス・ファンタジー版「ロミオとジュリエット」、あるいは現代版「美女と野獣」「オペラ座の怪人」と呼べる異色作である。この映画では冷戦下アメリカの宇宙研究所で清掃員を務めるヒロイン、イライザ(サリー・ホーキンス)の同僚ゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)が「うちの旦那は食事を出しても、感謝の言葉どころか、おいしいとも言わない。なのにオナラだけはシェイクスピア並の表現力があるんだから」(And boy, he just ate them up - no thank you, no yum-yum - not a feat. Man is as solid as a grave. But if farts were flattery, honey, he'd be Shakespeare.)と不満をもらす。残念ながら映画でそのオナラの音を聞くことはできないが、映画終盤でその旦那は不満どころか、妻の猛反発を招く行動を取ってしまう。

 

実際に作品名やセリフが引用される事はないが、シェイクスピアは表現豊かな作家のたとえとして言及されている。しかし映画のヒロインは逆に口がきけない女性で、謎の生物と出会ってコミュニケーションを取る時も手話を用いている。手話にも言葉と同様の強いパワーがあるのだ。実際、手の表現はシェイクスピアの作品でも重要なモチーフとなっている場合が多い。講座第1回の『エレファント・マン』の解説の際に引用した場面にあるように、ロミオとジュリエットも手のひらと手のひらを重ね合わせるところから恋が始まっている。

 

  ​

   サリー・ホーキンスとオクタヴィア・スペンサー


  

   謎の生物に卵を見せ、手話で示すイライザ

 

 

映画の中のシェイクスピア」講座予定(目次)へ

 

第1回「シェイクスピアってヤバくない?」へ

 

第2回「恋人たちのシェイクスピア」(前半)へ

 

 


 

 

『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』

  • 2018.05.21 Monday
  • 22:34

 

     ローゼンクランツと

    ギルデンスターンは死んだ

     ナショナル・シアター・ライブ

 

    

 

 作:トム・ストッパード (初演1966年)

 原題:

  Rosencrantz & Guildenstern Are Dead

 今回の再演:2018年2月〜5月

         (オールド・ヴィック劇場)

 演出:デヴィッド・ルヴォー

 

【キャスト】

 ダニエル・ラドクリフ

  …ローゼンクランツ

 ジョシュア・マグワイア

  …ギルデンスターン

 ルーク・マリンズ

  …ハムレット

 デヴィッド・ヘイグ

  …旅芸人

 

 上映期間:5/25 (金) 〜31 (木)

 上映館:TOHOシネマズ日本橋ほか

 上映時間:2時間30分 (休憩20分含む)

 


 

 <目次> 

 1. 解説

 2. 予備知識:『ハムレット』のあらすじ

 3.『ローゼンクランツとギルデンスタ

  ーンは死んだ物語と登場人物

  (1) あらすじ

  (2) 各幕の内容

  (3) 登場人物

 4. 作者:トム・ストッパード

 5. キャスト/スタッフ

 6. 映画化(1990年)

   監督・脚色:トム・ストッパード

   主演:ゲイリー・オールドマン

      ティム・ロス

 7. 日本での上演

   生瀬勝久・古田新太主演

   生田斗真・菅田将暉主演など

 


 

 

                    1.解 説

 

トム・ストッパードの『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を楽しむ方法は二つある。一つは何の予備知識もなしで観る方法。シェイクスピアの書いた『ハムレット』の世界を脇役二人の視点から描いているのだから、事前学習が絶対に必要かというと案外そうでもない。基本的にこの作品は喜劇なので、とにかく二人の妙なやり取りのおかしさを楽しめばいいのである。実際、昨年日本で上演された生田斗真(ローゼンクランツ)と菅田将暉(ギルデンスターン)主演の舞台では、二人のセリフや仕草の一つ一つに観客が笑い、これが不条理劇と呼ばれた作品とは思えないほど親しみやすい舞台に仕上がっていた。むしろ、デンマーク王に召されて、何が何だか分からないまま宮廷をさまよう二人が抱える不安、もどかしさのようなものを共有できるという意味では、へたに『ハムレット』に詳しくなるよりは何も知らない方が自然な鑑賞方法だと言える。ただし『ハムレット』の多少の予備知識があれば、作品を客観的に眺めることができ、別の次元で作者の巧妙な仕掛けに唸らされる部分がある事も事実である。

 

ローゼンクランツとギルデンスターンはシェイクスピアの『ハムレット』の端役二人。先王である父親の亡霊に命じられ、現国王である叔父への復讐を果たそうとするハムレットの物語の中で、ローゼンクランツとギルデンスターンは国王に命じられハムレットの様子を探ることになる。二人はハムレットの旧友らしいが、特別にハムレットの思い入れがある親友ではない。若きデンマークの王子は二人に心の内を明かすことはなく、むしろ最初から彼らの背後にいる叔父クローディアスの空気を感じ取っている。

 

『ハムレット』についてさらに詳しく知りたい、あるいは思い出しておきたいという人のためにここで作品を概観してみたい。ローゼンクランツとギルデンスターンが呼び寄せられたデンマークの宮廷にはどんな表のドラマがあったか、そしてマイナーなキャラクターである二人はどこでどのように登場していたか、ここで整理してみることにする。以下のあらすじでは、カラーの登場人物が『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』にも登場する。(石田伸也・演劇学部教授)

 


 

 

    2.予備知識

     『ハムレット』のあらすじ

 

1

第1(亡霊の出現)

デンマークのエルシノア城に死んだばかりの先王の亡霊が出現する。

第2(戴冠式のあとで)

王子ハムレットが言い知れぬ悲しみに沈んでいる。父親が死んだばかりでなく、叔父のクローディアスが母親のガートルードと再婚し、王位についたからだ。

第3(オフィーリア)

ハムレットが愛するオフィーリアの登場。彼女の兄レアティーズが留学先のフランスへ出発する。兄も父親のポローニアスもハムレットとオフィーリアの交際を快く思っていない。

第4場/第5(復讐の誓い)

ハムレットが父親の亡霊に遭遇する。亡霊はクローディアスに毒殺されて王位も王妃も奪われたと語り、復讐を息子に命じる。ハムレットは復讐を果たすために狂気を装い、叔父の動向を探ることにする。

 

第2

第1(ハムレットの狂気)

変貌したハムレットの異様な様子を動揺したオフィーリアが父親に報告する。これを聞いたポローニアスは恋ゆえの狂気と思い込み、大臣として国王に報告せねばと考える。

第2(狂気の原因を探る)

クローディアスはハムレットの友人であるローゼンクランツとギルデンスターンを呼び寄せて狂気の原因を探らせる。二人はハムレットに接するがはぐらかされるばかりで、しまいには問い詰められて自分たちが王と王妃に呼ばれたことを白状してしまう。(この場面の詳細と主要な台詞はこちら ⇒ 国王に召されたローゼンクランツとギルデンスターン

旅役者の一行が到着する。ハムレットは王の良心を刺激する芝居を上演し、反応を観察することにする。

 

第3

第1(生きるべきか死ぬべきか)

ローゼンクランツとギルデンスターンはクローディアスと王妃からハムレットの様子はどうだったかと尋ねられる。クローディアスとポローニアスはハムレットにオフィーリアと話をさせる場を仕掛け、物陰でその様子を伺うことにする。ハムレットが “To be or not to be”(生きるべきか死ぬべきか)と冥想的な独白を語りながら登場する。おとりに使われているオフィーリアに対しては「尼寺へ行け」と非難を暗示するような語句を何度も繰り返す。オフィーリアは泣き崩れてしまう。

第2(芝居の上演)

王の御前で国王毒殺の芝居が上演される。クローディアスは芝居を観てたじろぎ、上演を中止させる。

第3(罪の許しを祈るクローディアス)

クローディアスが1人で罪の許しを祈る。ハムレットは復讐の絶好の機会と考えるが、祈りの最中は最適ではないと判断して思い留まる。

第4(ポローニアスを刺殺/ガートルードを非難)

ハムレットは母親の部屋の物陰に隠れていて様子を伺っていたポローニアスを叔父と思って刺し殺してしまう。怯える母親に対してハムレットは叔父との結婚の非難の言葉を浴びせるが、父親の亡霊が登場し、諫められる。

 

第4

第1(ポローニアスの死体を探せ)

クローディアスはローゼンクランツとギルデンスターンにハムレットを見つけ、ポローニアスの死体を礼拝堂におさめるよう命じる。

第2(死体のありか)

ローゼンクランツとギルデンスターンはハムレットに死体のありかを尋ねるが、相手にされない。

第3(イギリス行き)

ローゼンクランツとギルデンスターンがクローディアスの前にハムレットを連れてくる。ハムレットはイギリス行きとなり、二人は同行を命じられる。

第4(ハムレットの新たな決意)

ローゼンクランツとギルデンスターンが同行するイギリスへの旅の途上、デンマークの平野でハムレットがノルウェー王フォーティンブラス率いる軍隊を眺める。名誉のために戦地に向う国王と自分を比べ、復讐を果たせないでいる自分を情けなく思い、決意を新たにする。

第5(発狂したオフィーリア)

父親の死後に発狂したオフィーリアが歌を口ずさみながら国王、王妃らの前に現れる。帰国した兄レアティーズもその姿を目撃し唖然とする。

第6(ハムレットからの手紙)

ハムレットからの手紙が親友ホレーシオの元へ届く。海賊船に襲われて一人だけ捕虜となったが手厚くもてなされたこと、ローゼンクランツとギルデンスターンはイギリスへの旅を続けていることが伝えられる。

第7(ハムレット謀殺計画/オフィーリアの死)

クローディアスはレアティーズを焚きつけてハムレットと剣の試合をさせようとする。二人は剣先に毒を塗り、王子の命を奪う計略をめぐらす。

そこへ王妃ガートルードが現れ、オフィーリアが川で溺死したことを伝える。

 

第5

第1(墓場)

歌を口ずさみながら墓を掘っているのんきな墓掘りに帰国したハムレットが話しかけ、死について思いをめぐらせる。そこへオフィーリアの亡骸が運ばれる。亡骸を前にしてレアティーズはハムレットにつかみかかり、二人は激しく対立する。

第2(イギリス王への親書/レアティーズとの対決)

ハムレットが親友ホレーシオに旅の船中での出来事を語る。クローディアスがイギリス王へ宛てた親書の文面をこっそり盗み見ると「即刻、ハムレットの首をはねよ」と書いてあったので、親書を偽造して「手紙の持参者二名の首をはねよ」と書き改めたのだと。ハムレットはローゼンクランツとギルデンスターンに対して良心のとがめはない。

 クローディアスは剣の試合を観戦中にハムレットに毒入りの杯を飲ませようとするが、ガートルードが飲んでしまい、彼女は倒れる。ハムレットは毒の剣に傷つくが、奪った剣でレアティーズにも毒入りの剣の一撃が加えられる。倒れたレアティーズから毒殺の計略を告白されたハムレットは、国王を刺し、さらに毒入りの杯の残りを飲ませ、復讐を遂げて息絶える。

 イギリスからの使節が来訪し、ローゼンクランツとギルデンスターンの死を伝える。同時に来訪したノルウェー王フォーティンブラスが屍の山に驚き、ハムレットを武人らしく丁重に弔うよう部下に命じる。

 


 

 

 3. 『ローゼンクランツとギルデンスターンは

    死んだ』〜物語と登場人物

 

      (1) あらすじ

 

国王の使者に命じられて宮廷へ向かっているローゼンクランツとギルデンスターンが投げ銭の賭けをしている。ところが何度やっても出るのは「おもて」ばかり。二人はこのあり得ない現象に驚いている。宮廷に着くと二人は国王と王妃から王子ハムレットの狂気の原因を探ってほしいと頼まれる。しかしハムレットにはまともに相手にされず、出たり入ったりの宮廷の騒動に翻弄されるばかり。自分たちの先の読めない状況や死について語り合ったり、旅の道中に出会った旅芸人一座の座長と再会して彼らの舞台稽古を見たりするが、騒動が収まるとハムレットをイギリスへ連れて行く役目を担わされる。イギリスへ向かう船の中で二人は国王がイギリス王に宛てて書いた親書を開封し読んでしまう。そこには「ハムレットの首を即刻はねよ」と書かれていた。再び旅役者たちが現れる。だが船は海賊に襲われ、ローゼンクランツとギルデンスターンと座長のみ船に取り残される。最後に二人は実際に自分たちが迎えようとしている運命の真実を知ることになる。

 


 

      (2) 各幕の内容

 

*作品は全3幕からなる。内容はロンドン初演時のテキストに基づく。今回のオールド・ヴック劇場での上演では、約2時間30分のうち、第2幕の途中までで前半第1幕(約90分)とし、20分の休憩後の残り約40分を第2幕としている。グリーンの部分は『ハムレット』にある場面。引用は『今日の英米演劇5』所収の倉橋健訳。

 

 第1幕 (コインはいつも“おもて”のみ)

 

ギルデンスターン(以降“ギル”)がコインをはじいて落とし、ローゼンクランツ(以降“ロズ”)がそれを調べるという投げ銭の賭けをしている。ところが何度やっても出るのは「おもて」ばかり。ギルはこのあり得ない現象を不思議に思うが、ロズは「連続85回。記録やぶりだ」などと喜んでいる。二人はどうやら国王の使者に言われて宮廷へ向かっているようである。

 

    

  ギルデンスターン(左)とローゼンクランツ

  Photo: Manuel Harlan

 

彼らの前に旅芸人の一座が現れる。二人は座長に得意の出し物の場面を見せてくれと頼み、いよいよこれから上演されるのかと思っていると「もう始まっている」と座長は言って立ち去る。

 

しばらくすると恋人のオフィーリアを追いかけてデンマーク王子ハムレットが登場。ハムレットは青ざめた悲しい様子で何も言わずに彼女を見つめるが、しばらくすると二人とも立ち去ってしまう。(これは『ハムレット』2幕1場でオフィーリアが父親に報告するハムレット錯乱の様子。ただし本来ロズとギルはこの場にはいない。)ロズとギルは唖然として立ちつくすばかり。すると今度は国王クローディアスと王妃ガートルードが登場し、ロズとギルはハムレットの狂気の様子を探ってもらいたいと頼まれる。(『ハムレット』2幕2場の冒頭)

 

ロズとギルは何とも言いがたい不安にかられ、ロズは「とんだ深みにはまって、ひどい目にあいそうな気がする。虫の知らせだ、死の知らせだ」と恐れる。二人が質問文の形式のみで会話するルールの質問ゲームを始め、気を紛らわせていると、ハムレットが本を読みながら黙って舞台を横切るロズとギルはハムレットと話す時のための予行演習を始め、再び現れたハムレットに二人は話しかける。

 

 第2幕 (デンマークの宮廷を右往左往)

 

ハムレットとの会話の続き。(『ハムレット』でロズとギルにハムレットが「デンマークという牢獄に送りこまれたな」と語る会話の内容はここでは意図的に省略されており、のちのロズとギルの会話の話題になっている。)二人きりになるとロズとギルはハムレットの様子、自分たちの運命について議論する。

 

するとハムレットと旅芸人の一座が登場。ハムレットは翌日「ゴンザーゴ殺し」を王の前で上演するよう指示をする。ロズとギルと再会した座長が自分たちは置き去りにされたと憤慨した様子を見せる。座長が退場すると、二人は死について思いをめぐらす。

 

      

     ギル(左)とロズ Photo: Alastair Muir

 

国王と王妃らが登場。ロズとギルはハムレットの様子について尋ねられる。 (『ハムレット』3幕1場)  さらに、ハムレットが短剣でひと思いに突き刺すことの是非を考えながら登場したり、オフィーリアがハムレットに非難の言葉を浴びせられ泣き出してしまうなど、立て続けに出たり入ったりの騒動にロズとギルは翻弄されるばかりである。(ただし『ハムレット』では独白やオフィーリアとの場に二人は登場していない。)

 

ロズとギルの前で役者たちが舞台稽古を始める。演目は様式化された無言劇で、先王である父親を毒殺したのが本当にクローディアスであるのか、ハムレットが御前で上演し反応を見て確証を得ようとしているものである。だが国王毒殺の場のあとには、ハムレットによってポローニアスが刺され、その結果彼はイギリスに送られ…という『ハムレット』の後半の物語を暗示するような劇に変わる。芝居の幕切れはロズとギルのような二人がイギリスで処刑される姿。ロズとギルは死の恐怖を感じながらも、演じられた死というものに現実を読み取ることを拒否する。舞台裏からは芝居を観て動揺したクローディアスが上演の中止を命じる声と宮廷の騒ぎが聞こえてくる。(『ハムレット』3幕2場)

 

今回の2幕構成の上演では、ここまでを第1幕として休憩が入る。

 

     

   旅芸人の役者と座長 

     Photo: Manuel Harlan

 

クローディアスはロズとギルに、ハムレットに刺し殺されてしまったポローニアスの死体を礼拝堂に運ぶよう命じる。二人はハムレットに死体のありかを問いただすが相手にされない (『ハムレット』4幕1場〜3場)。 クローディアスに国外へ追いやられことになったハムレットはロズとギルと共にイギリスへ向かって旅をする (『ハムレット』4幕4場)。 ハムレットをイギリスへ連れて行く役目にあるロズとギルは、旅の途上、いつまでも捉えることができない自分たちの状況について苦渋の思いを語り合う。

 

  第3 (イギリスに向かう船の中)

 

      

    船中のロズ(左)とギル 

     Photo: Alastair Muir

 

ロズとギルの不安はますます強くなる。ギルはクローディアスがイギリス王宛てに書いた書状を預かっていた。二人はその封を破り開封して唖然とする。即刻ハムレットの首をはめるように指示されていたからだ。だがロズとギルが眠りについた深夜、ハムレットは密かに手紙を抜き取り、しばらくすると元に返す。(この行為は『ハムレット』では5幕2場でホレーシオに語られる)

 

船に置かれていた樽から座長および一座の役者たちが現れる。王を怒らせてしまったので逃げ出し、隠れていたのだという。そこへ海賊が襲撃してくる。(『ハムレット』では海賊の襲撃は4幕6場のホレーシオへの手紙の中で言及されるのみ)

 

ロズとギルと座長の3人だけが船に取り残される。ハムレットがいなくなった今、ロズとギルはイギリス到着時の説明の言葉を考えざるを得ない。二人は改めて手紙を開封し、そこに「ローゼンクランツとギルデンスターンをただしに死刑に処すように」と書かれてあるのを見て愕然とする。するといなくなったはずの役者たちが再び現れ、座長と共に二人を囲み、不気味な円を作る。ギルは座長のベルトから短剣をひったくり彼を刺してしまうが、剣は偽物だった。

 

座長は死というものは演技だと主張し、再び無言劇で『ハムレット』のいくつもの死の場面を二人に見せるが、ギルは「死はロマンチックな幕切れではない」とイラついて反論する。ロズは「太陽が沈むのか、地球が上がってくるのか、どっちだって変わりはない」と開き直る。やがて二人の姿は消えていく。イギリスの使節が登場し「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」と報告する。ハムレットの親友ホレイショーの『ハムレット』を締めくくるセリフで劇は終わる。(『ハムレット』5幕2場)

 


 

 

         (3) 登場人物

 

      ギルデンスターン

      

 

シェイクスピアの『ハムレット』ではどっちがどっちだか分からないような二人だが、ストッパードは明確に二人を描き分けている。おもてばかり出続けるコインに対してギルは何かがおかしいと懐疑的だが、ロズは「今日はついていないらしいな。」などと無邪気に考えている。ギルは人生や世界に公式を求めて「始まりはただ一つ、生まれということであり、終わりもただ一つ、死あるのみ」などと発言する。案外、ギルはハムレットに近い性格と言えるかもしれない。ギルの言葉にはハムレットの独白に見られるような瞑想的に語られる真実の瞬間がある。演技というかたちで死を表現しようとする座長に対して、ロズは現実的な死の見方を披露している。

 

「おまえは何千回となく、いいかげんな死に方をしている(…中略…)ほんとうの死のあとでは、だれも立ち上がらないのだ…拍手もない…ただ沈黙があるのみ、それに死体をおおう若干の古着が…それが死だ」

 

シェイクスピアの悲劇でもハムレットは死ぬ間際に「あとは沈黙」と言って息絶えている。ハムレットが終幕でホレーシオに対して語る次の言葉をギルが聞いたら、果たしてどう思うだろうか。

 

「前兆などいちいち気にしてもはじまらぬ。雀一羽落ちるのも神の摂理。来るべきものはいま来ればあとには来ない、あとで来ないならばいま来るだろう、いまでなくても必ず来るものは来るのだ。なによりも覚悟が肝要。人間、すてるべきいのちについてなにがわかっている? とすれば、早くすてることになったとしても、それがどうだというのだ? かまうことはない。」(『ハムレット』5幕2場/小田島雄志訳・白水社)

 

        ローゼンクランツ

      

 

ローゼンクランツには子供のようなところがある。「ひどい目にあいそうな気がする」とかん高い声を出して怯え、ギルになだめられたり、ロズがハムレットに対して「こちらはなるべく本心をあかさない」と作戦を考えている時には「元気づけてやろう」とか「もっと建設的なこと」をやろうと純粋な気持ちで話している。質問ゲームをやろうと言い出すのもロズである。ギルが「おれたちの役割はもう決められたのだ。へたに動きまわると、ひと晩じゅう、おたがいに追いかけっこをすることになる。」と慎重な態度でいる時も「これにたえられるのは、だれかおもしろいのがもうすぐ出てきそうだというおかしな信念があるからだけだ」と楽天的な見方をし、気が滅入ることはあまり考えたがらない。「いっそ死んだほうがましだ」などと感情的になってしまうこともある。宮廷を出発した後は、ロズが「自分が今どこにいるのか、知りたい」と自分の存在と状況への追求の気持ちを緩めないのに対し、「自由になれる」とほっとしている。

 

       旅役者の座長

   

 

ただ者ではない気配の座長である。一座はどこから来て、ロズとギルに何を教えに来たのか。座長が語る言葉はシェイクスピアの『お気に召すまま』にあるセリフ「この世はすべて舞台。男も女もみな役者に過ぎぬ。」という世界観と重なる部分がある。虚構、演技、死などに関わる様々な演劇的命題をロズとギルに投げかけるこの座長、はたして二人を翻弄するメフィストフェレスのような悪魔なのか、それとも二人を導く妖精のような存在なのか。

 

ハムレットほかデンマーク宮廷の登場人物

      

      

 

『ハムレット』では悩み苦しんでいた彼らも、ロズとギルが主役のこの作品では脇役として遠景に退き、各々は全体の状況を構成する一部でしかない。

 


 

 

   4.作者:トム・ストッパード

 

      


現代演劇を代表する劇作家の一人であるトム・ストッパード(Sir Thomas Stoppard) は1937年チェコスロバキアでユダヤ系の家系に生まれる。父親を大戦中に亡くし、戦後に再婚した相手がケネス・ストッパードという英国陸軍将校だったことからその姓を名乗るようになった。大学に進学せずに新聞や文芸誌で映画・演劇欄の批評を担当していたが、戯曲の執筆を始め、舞台、ラジオ、テレビで発表するようになる。

 

66年にエジンバラ演劇祭で上演された『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』が翌年ナショナル・シアターによって上演され、高く評価され新人作家として注目を集める。『ローゼンクランツ…』のように現実と劇の関係が逆転する作品としては『ほんとうのハウンド警部』(The Real Inspector Hound, 70)がある。ここでは二人の劇評家が観劇している推理劇の中の殺人事件に巻き込まれてしまう。『リアル・シング』(The Real Thing, 82)では、劇中劇を劇中劇だと観客に明かさずに見せる手法を取っており、ここでも現実と虚構の主題を扱っている。『アルカディア』(Arcadia, 93)では過去と現在の運命の糸が複雑に交錯する。英国の貴族の屋敷を舞台に、19世紀のと200年後の現代のドラマが交互に描かれていき、場面や人物は互いに反応しながら、繋がりの糸の強さを強めていく。

 

今世紀に入ってからの代表作には『コースト・オブ・ユートピア』(The Coast of Utopia, 2002)三部作がある。19世紀の革命前のロシアを舞台にしたさ作品で、登場人物は70人以上で合計9時間の大作である。理想の社会を夢見る若き知識人たちの挫折や成長を、チェーホフを思わせる筆致で30年以上に渡る物語として描いている。

 

テリー・ギリアム監督の『未来世紀ブラジル』(Brazil, 85)、スティーブン・スピルバーグ監督の『太陽の帝国』(Empire of the Sun, 87)、『アンナ・カレーニナ』(Anna Karenina, 12)など、映画の脚本も書いており、1990年には『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』も自身の監督・脚本で映画化している。最も有名で評価も高いのが『恋におちたシェイクスピア』(Shakespeare in Love, 90)で、シェイクスピアと少年俳優に変装した女性との恋を劇中劇の『ロミオとジュリエット』に絡ませて描き、アカデミー賞脚本賞を受賞した。

 

人生をシニカルに捉え、それをストレートに表から描かず、表と裏、過去と現在、現実と虚構などの視点を取り入れて巧みな語り口と仕掛けで見せていくのがストッパードの作劇術の基本にある。言葉遊びやおふざけのような行動や状況に笑っているうちに、いつの間にか観客は背後にある何か大きなものを突き付けられていることに気づかされる。それらは死、時間、運命、夢、諦観など様々。いずれも我々が無視できないものばかりである。サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』との類似がよく指摘される『ローゼンクランツ…』だが、『ゴドー』の二人がひたすら待ち続けるスタンスなのに対して、ストッパードの書いた二人は、もがき苦しみ、生への執着をより顕わにしている。二人の困惑、挫折と最後の覚悟に近いような余韻は不条理な世界の提示だけに終わっていない。

 

この世はすべて舞台、我々もローゼンクランツとギルデンスターンにすぎない。誰もが脇役でありながら、主役でもあり、主役でありながらも、脇役であるのだから。

 

 公演情報 (スタッフ・キャスト)等へ続く

 


 

<注釈>

『ハムレット』第2幕第2

 国王に召されたローゼンクランツとギルデンスターン

 

 *作品からの引用は小田島雄志訳(白水社)

 

クローディアスがハムレットの友人ローゼンクランツとギルデンスターンに話しかけるところから場面が始まる。

 

 国王 おお、よくきた、ローゼンクランツ、ギルデンターン、ぜひとも会いたいと前々から思っていたところへ、急に二人の力を借りねばならぬ必要に迫られ、いそぎ使いを出したのだ。もういくらかは聞いていよう、ハムレットはすっかり変わってしまった。

 (…中略…) 

しばらくのあいだこの宮廷にとどまり、ハムレットのそばにいて、あれの心を慰めてはくれまいか。そのうちに機会があればそれとなく探りをいれてもらいたい。

 

さらに王妃が、ハムレットの悩みの原因を探ってくれれば、「国王もお喜びになり、あなたがたに相応のお礼をするでしょう。」と付け加える。するとまず口を開くのがローゼンクランツ。

 

 ローゼンクランツ 両陛下に申し上げます、どうかお頼みになるなどと仰せにならず、至上の大権をもって、お心のままにご命令くださるようお願いいたします。

 ギルデンスターン もちろん、われわれ両人、ご命令とあらばわが身を投げうってお心に従い、全力を尽くしてご奉公に勤めますことは、臣下としての喜びにほかなりません。

 国王 かたじけない、ローゼンクランツ、ギルデンスターン。

 王妃 礼を申します、ギルデンスターン、ローゼンクランツ。

 

この後、ギルデンスターンが「私たちがハムレット様のお心を晴らすお力になれれば」と言って、二人はいったん退場するが、ポローニアスがハムレットの様子を探った後に、再び登場。今度は二人がハムレットと問答を交わす。

 

 ハムレット 二人とも元気か?

 ローゼンクランツ まあ、並みの人間と変わらぬぐらいには。

 ギルデンスターン しあわせにすぎないのが唯一のしあわせといったところです。運命の女神の帽子についた飾り、というわけにはいきません。(…中略…)
 ハムレット 一つ質問させてもらおうか、きみたちはどんな悪事を働いたのだ、運命の女神の手によってこの牢獄に送りこまれたとは?
 ギルデンスターン 牢獄?
 ハムレット デンマークは牢獄だ。

 

さらにハムレットは正直な答えを求める。なぜエルシノアに来たのかと。ローゼンクランツは「殿下にお目にかかるためです」と答え、ギルデンスターンは「どうお答えすればいいのか」と戸惑う。そして「国王と王妃に呼ばれたな」とまで言われてしまうと、とぼけてはいられないと万事休すとなる。
 

 ローゼンクランツ (ギルデンスターンに傍白) おい、どうしよう?
 ハムレット (傍白) よし、わかったぞ、この目は節穴ではない――どうした、友人と思ってくれるなら、水くさいまねはよしてくれ。
 ギルデンスターン 殿下、実は私たち、お呼び出しを受けまして…。

 


 

『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(2)

  • 2018.05.24 Thursday
  • 19:55

 

      ローゼンクランツと

    ギルデンスターンは死んだ

        National Theatre Live

 

      5.公演情報

 

        キャスト

 

     ダニエル・ラドクリフ

      (ギルデンスターン)

      

 

長い間ハリー・ポッターだったダニエル・ラドクリフは今、俳優として様々な新たな挑戦に挑んでいる。『エクウス』(Equus, 07)では馬の目をくり抜いて精神病院に入院させられた主人公の青年を熱演。ミュージカル・コメディ『努力しないで出世する方法』(How to Succeed in Business Without Really Trying, 11)にも出演し、ダンスと歌も披露。映画『スイス・アーミー・マン』(Swiss Army Man, 16)では何と無人島に流れ着いた腐りかけの死体の役に挑戦。遭難した主人公の青年を助け、友情を育んでいくという特異な役を怪演した。他にはボリビアのジャングルの奥地で遭難した青年を演じた『ジャングル 〜ギンズバーグ19日間の軌跡』(17, Jungle)もある。舞台でハムレットを演じるのも、そう先のことではないだろう。

 


 

    ジョシュア・マグワイア

     (ギルデンスターン)

      

 

ジョシュア・マグワイアは主人公の友人の役でコミカルな演技を見せることが多い。『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(About Time, 13)では主人公ティム(ドーナル・グリーソン)の友人で、恋には縁遠そうなひょうきんな青年をコミカルに演じていた。現在Netflixで配信中のイギリスのテレビ・ドラマ『恋愛後遺症』(Lovesick, 18)でも、ラブ・コメディの道化的存在の役を演じている。しかしロンドンのグローブ座の舞台ではハムレットをすでに演じたことがあり、『ターナー、光に愛を求めて』(Mr. Turner, 14)では画家のジョン・ラスキンを演じるなど、意外と演技の幅は広いようだ。今後のさらなる活躍が期待される。

 


 

    デヴィッド・ヘイグ (旅芸人)

      

     

1955年生まれ。主に80年代よりイギリスのテレビや舞台に登場。『われらが祖国のために』(88)ではローレンス・オリヴィエ賞男優賞を受賞。その後も『メリー・ポピンズ』(ミスター・バンクス役)、『ジョージ三世の狂気』(ジョージ三世役)などの作品でオリヴィエ賞に4回ノミネートされている。

 

 Cast

 Daniel Radcliffe (Rosencrantz)

 Joshua McGuire (Guildenstern)

 David Haig (The Player)

 Luke Mullins (Hamlet)

 Helena Wilson (Ophelia)

 Wil Johnson (Claudius)

 Marianne Oldham (Gertrude)

 William Chubb (Polonius)

 Theo Ogundipe (Horatio)

 Hermeilio Miguel Aquino (Courtier)

 Matthew Durkan (Alfred)

 Louisa Beadel (Player)

 Josie Dunn (Player)

 Tim van Eyken (Player)

 Evlyne Oyedokun (Player)

 Alex Sawyer (Player)

 


 

    演出家  デヴィッド・ルヴォー

      (David Leveaux)

      

 

1957年にイギリスのレスターに生まれる。マンチェスター大学卒業後、リバーサイド・スタジオで演劇活動を始め、ユージン・オニール作『日陰者に照る月』が高く評価され、20代半ばの新進演出家として注目を集める。その後 ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでアソシエイト・ディレクターとして『あわれ彼女は娼婦』『ロミオとジュリエット』などを演出。2003年にはミュージカル『ナイン』でトニー賞の最優秀演出家賞を受賞。トム・ストッパード作品では他に『リアル・シング』(2000)、『ジャンパーズ』(2004)、『アルカディア』(2011)を演出している。

 

優の肉体から最大限の表現力を引き出し、作品の解釈と巧みにリンクさせていくのがルヴォーの演出。日本でも門井均プロデュースによるシアター・プロジェクト・東京(tpt)の芸術監督として『テレーズ・ラカン』(1993, 読売演劇大賞受賞/再演1998)をはじめ、ベニサンピット(倉庫を改装した小劇場)で次々と刺激的な舞台を発表。数多くの俳優が彼の舞台に立ち、演技の視野を広げて実力をつけていった。当時の出演者には佐藤オリエ(『海の夫人』『ヘッダ・ガブラー』ほか最多主演)、堤真一(『チェンジリング』など)、若村麻由美(『テレーズ・ラカン』再演)などがいる。tpt以外では、宮沢りえがノラを見事に演じた『人形の家』(2008, シアターコクーン)が最も優れた舞台成果と言えるだろう。

 

  Creative

 Directed by David Leveaux

 Set design: Anna Fleischle

 Costumes: Flesichle and Lauren Elstein

 Lighting: Howard Harrison

 Sound: Fergus O’Hare

 Music: Corin Buckeridge

 

 

 On-stage trailer (舞台映像版予告編)

 


 The Questions Game

(劇中のような質問ゲーム:

 話を質問形式でしないと負け)

 


 

 

       6.映画化

 

     『ローゼンクランツと

    ギルデンスターンは死んだ』

  Rosencrantz & Guildenstern Are Dead

 

   

 

 1990年イギリス映画

 監督・脚色:トム・ストッパード

【出演】

 ゲイリー・オールドマン(ローゼンクランツ

 ティム・ロス(ギルデンスターン)

 リチャード・ドレイファス(座長)

 イエイン・グレン(ハムレット)

 ジョアンナ・ロス(オフィーリア)

 ドナルド・サンプター(クローディアス)

 ジョアンナ・マイルズ(ガートルード)

 イアン・リチャードソン(ポローニアス)

 ジョン・バージェス(イギリスからの使節)

 撮影:ピーター・ビジウ 

 音楽:スタンリー・マイヤーズ

 受賞:ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞

 

  

 [左] ローゼンクランツ(ゲイリー・オールドマン)

 [右] ギルデンスターン(ティム・ロス)

 

【解説】

 まず配役が面白い。若き日の二人の演技の幅の広さがうまく機能してローゼンクランツとギルデンスターンのコントラストが生まれているのだ。トム・ストッパードは当初、イライラしていて、やや押しの強いギルデンスターン役としてゲイリー・オールドマンを考えていたという。なるほどオールドマンと言えば、この映画の後にジャン・レノ(『レオン』)、ハリソン・フォード(『エア・フォースワン』)、ブルース・ウィルス(『フィフス・エレメント』)など名立たるスターを相手に、狡猾な悪役として見事な演技を披露していく事になる俳優だからだ。どちらかと言うと、飄々としたところがあるローゼンクランツでいいんだろうかと思うかもしれないが、実はローゼンクランツの方をやらせてくれと頼んだのはオールドマン本人だったという。

 

素朴な性格のピアニストを演じた『海の上のピアニスト』を思い出すと、むしろティム・ロスの方がローゼンクランツ向きなのてはと思ってしまうが、『レザボア・ドッグス』『ヘイトフル・エイト』などタランティーノ監督の作品にも数回出演し、ウディ・アレン監督も『世界中がアイ・ラブ・ユー』で出所したばかりのクールな強盗役として起用しているほどである。

 

そして座長役のリチャード・ドレイファスはニール・サイモン脚本の『グッバイ・ガール』でアカデミー賞主演男優賞を受賞しているが、この時の役が売れない役者の役。ただし妙な演出家の解釈には納得せず、憤慨するようなところは、ひたすら演劇論を語り続ける座長役にハマっている。だがドレイファスは論理的で現実的な味わいが強い俳優なので、どこからともなく現れる神秘的な一座の座長としては物足りない部分もある。1970年頃に映画化の話が持ち上がった時にはショーン・コネリーが演じる予定だったという。

 

   

    リチャード・ドレイファス(座長)

 

劇冒頭のコインの場面は、映画では宮廷へ向かう二人が馬に乗って表を繰り返し出している。空中に投げられたコインはスローモーションでも映し出され、岩だらけの山道で繰り返し投げているうちに、その一つは岩場の下へ落ちていってしまう。他にも旅の途中で、伝令が訪れた時の「ローゼンクランツとギルデンスターン!」と叫ぶ声が突然響くなど、映画らしいイメージ・カットの挿入が映画では作品に不安な空気をもたらしている。デンマークの宮廷はユーゴスラヴィアのザグレブ郊外にある二つの城でロケされており、映画は迷宮のような本物の城でさまよう二人を城の様々な場所でカメラに収めている。この点に関してストッパードは次のように語っている。

 

「芝居では二人の主人公は駅のように動かず、そこをハムレットたちが通りすぎていくのだが、映画はその反対で、ローゼンクランツとギルデンスターンがエルシノア中を走り回る。エルシノアが巨大な駅で、彼らが列車になっていろいろと捜し回っているわけだ。そしていつもまずいところに入り込み、タイミングの悪い場所に出くわしてしまうのだ。」

 

   

    馬でデンマーク宮廷に向う二人

 

  

    ハムレットにもてあそばれる二人

 

     

  部屋の裏手から役者たちの稽古を見る二人

 

    

 [] ギルデンスターン(ティム・ロス)

 [] ローゼンクランツ(ゲイリー・オールドマン)

 


 

 

 7.  日本の

  ローゼンクランツとギルデンスターン

 

 (1)  笈田勝弘(ローゼンクランツ)

     日下武史(ギルデンスターン)

     田中明夫(座長)

     1969年:劇団四季

    (翻訳:倉橋健/演出:水田晴康)

 


 

 (2)  矢崎滋(ローゼンクランツ)

    角野卓造(ギルデンスターン)

    1985年:パルコ

    (翻訳:松岡和子/演出:出口典雄)

    劇場:SPACE PART3

 

    

 


 

 (3)   古田新太(ローゼンクランツ)

   生瀬勝久(ギルデンスターン)

   納谷五郎(座長)

      1994年/メジャーリーグ

     (演出:鵜山仁/翻訳:松岡和子)

   劇場:博品館劇場

   (2000年再演:シアターコクーン)

   再演:1997年(座長:すまけい)

      2000年(座長:加納幸和)

 

    

 


 

 (4)   石橋徹郎(ローゼンクランツ)

   浅野雅博(ギルデンスターン)

   パペット(座長)

   2015年/「ロズギル」上演委員会

   (演出:鵜山仁/翻訳:平川大作)

   劇場:下北沢OFF・OFFシアター

 

   

 *小劇場での1か月のロングラン公演。

  完全な二人芝居で他は人形と映像で表現。

  まさに虚構に飲み込まれていくロズとギル。

 

 演出家・鵜山仁のことば(劇場配布資料より)

 この人生、終着駅は「死」と定まっている。だから問題はつまり、決まった人生をどう生きるか。定まった運命にどう抗らうかが、昔ながらの有名ヒーローの役割だとするなら、不条理劇の無名ヒーロー達は、むしろ運命をどう出し抜くか、どうごますかに心をくだいているように思える。例えて言えば、同じ病気にかかっていても治療方針が違うようなものだ。積極果敢、外科手術に打って出るか、或いは何もしないか、これはそもそも人生観の違いか、演劇観の違いか…

 


 

 (5)   生田斗真(ローゼンクランツ)

   菅田将暉(ギルデンスターン)

   半海一晃(座長)

   林遣都(ハムレット)

   小野武彦(クローディアス)

   立石涼子(ガートルード)

   松澤一之(ポローニアス)

   安西慎太郎(オフィーリアほか)

   2017年/シス・カンパニー

   (翻訳・演出:小川絵梨子)

   劇場:世田谷パブリックシアター

 

     

 

生田斗真(ロズ)のボケと菅田将暉(ギル)のツッコミの演技が絶妙な味わいと笑いを引き出し、この作品が不条理劇である前に喜劇であることを証明していた舞台。劇場パンフレットのインタビューでは、菅田が自分の人生に運命のようなものをしみじみと感じているのに対して、生田は「何かのせいにするってことはないなぁ。っていうか、すぐわすれちゃうんだよね。」と話しているので、案外、素のキャラもロズ・ギルの二人かも。「人一倍“死”を恐れているギルは最後まで生きることを諦めないんです。まだ“見てろよ”って思ってる」というのは菅田将暉の弁。

 

<2017年オンライン映画演劇大学・英米演劇大賞>

 最優秀イギリス演劇賞・優秀主演男優賞

 (生田・菅田)・優秀助演男優賞(半海)受賞

 


 

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>

contents

  

   演劇学部推薦公演(2020年春期)

  

   映画学部推薦作品(2020年春期)

  



  

オンライン映画演劇大学は映画と演劇を幅広く紹介、解説、研究するオンライン上の教育・文化活動です。文部科学省の認可は受けていませんが、実際の大学での授業と連携した情報や研究も掲載しています。

  

  【シェイクスピア学科】

       (講師: 広川治)

  

   【アメリカ演劇学科】

     (講師: 小島真由美)

  

   【映像文化学科】

   (連続講座準備中:

   第1回 / 第2回受賞・

   候補作品の解説・資料

   公開中)

  



  

     <新着記事・講座>

  

New

・ 1920-39年 IMDb

     英米映画ランキング

   (資料作成:今村直樹)

            (2023/8/13)

  


  

・ 2023年 IMDb

     外国映画ランキング

   (資料作成:今村直樹)

            (2023/4/2)

  


  

 オンライン映画演劇大学

 シネマグランプリ2022

の外国映画18部門と日本映画10部門の受賞が決定しました。

*英米作品賞:

「トップガン マーヴェリック」

*グローバル作品賞:

「わたしは最悪。」

*監督賞:アスガル・ファルハーディー(英雄の証明)

*日本映画作品賞:

「サバカン SABAKAN」

           (2022/3/21)

  


  

第6回英米演劇大賞 (オンライン映画演劇大学・演劇学部選出)は「ハリー・ポッターと呪いの子」に決定しました。最優秀イギリス演劇賞は「ザ・ウェルキン」に、最優秀アメリカ演劇賞は「冬のライオン」に、最優秀演出家賞には「ピローマン」の寺十吾が選出されています。

           (2023/3/21)

  


  

Update

・ 2022年 IMDb

     外国映画ランキング

   (資料作成:今村直樹)

            (2023/3/21)

  


  

Update

・ 2022年 日本映画

     ベストテン

   (資料作成:今村直樹)

 *KINENOTE, 映画.com, Yahoo! JAPAN, Filmarksの平均評点と映画賞受賞・ノミネート歴に基づく2022年劇場公開済みの劇映画の順位です。

            (2022/3/12)

  


  

・ IMDb Top 250

     Movies オールタイム

     ・ランキング

   (資料作成:今村直樹)

 *IMDb掲載のオールタイム・ベスト250をランキング順と公開順の一覧にしました。1位は不動の名作「ショーシャンクの空に」で、2位と3位は人気三部作をそれぞれ代表する「ゴッドファーザー」「ダークナイト」がランクインしています。

            (2022/12/12)

  


  

・ 2022年英米演劇

         上演予定

ナショナル・シアター・ライブの「プライマ・フェイシィ」(8月)と「ストレイト・ライン・クレイジー」(10月)の情報を追加しました。

           (2022/7/7)

  


  

 男の敵

 乙女よ嘆くな

 トップ・ハット

 人生は四十二から

 噫無情 レ・ミゼラブル

 孤児ダビド物語

 *以上の1936年第8回アカデミー賞作品賞候補作と同年のマルクス兄弟の喜劇『オペラは踊る』の英文シナリオ、画像集を作成しました。

            (2022/5/23)

  


  

 戦艦バウンティ号の叛乱

 三十九夜

 *1935年のアカデミー賞作品賞受賞作『戦艦バウンティ号の叛乱』とアルフレッド・ヒッチコック監督の『三十九夜』の台詞、画像、動画資料集を作成しました。

            (2022/3/30)

  


  

2021

・ 映画サイトの評価と受

  賞歴に基づいた2021年

  の日本映画ベストテン

  を更新しました。

           (2022/3/21)

  


  

2021

 オンライン映画演劇大学

 シネマグランプリ2021

の外国映画18部門と日本映画7部門が決定しました。

英米作品賞:

「MINAMATA-ミナマタ-」

グローバル作品賞:

「アイダよ、何処へ?」

監督賞:サイード・ルスタイ (ジャスト6.5 闘いの証)

           (2022/3/20)

  


  

・ 映画 Hamlet (1948)

   の英文シナリオが完成

   しました。

           (2022/2/24)

  


  

2021

第6回英米演劇大賞 (オンライン映画演劇大学・演劇学部選出)は「Oslo」に決定しました。同公演は最優秀アメリカ演劇賞、最優秀演出家賞(上村聡史)、最優秀助演男優賞(益岡徹)、最優秀スタッフ賞(照明=勝柴次朗)も受賞しました。最優秀シェイクスピア賞は「終わりよければすべてよし」に、最優秀イギリス演劇賞は「インク」に決定しました。

           (2022/2/20)

  


  

2021

・ 2021年 IMDb

     外国映画ランキング

   (資料作成:今村直樹)

              (2022/2/17)

  


  

・ 第94回(2022年授賞式) アカデミー賞ノミネート作品のIMDb評価をまとめました。

           (2022/2/13)

  


  

・ 2021年(第95回)の

   キネマ旬報ベストテン

   と読者選出ベストテン

   が発表されました。

           (2022/2/7)

  


  

・ 毎日映画コンクール

  発表されました。日本映画大賞に『ドライブ・マイ・カー』が、日本映画優秀賞に『すばらしき世界』が選出されています。

           (2022/1/20)

  


  

・ 日本アカデミー賞の優

秀賞が発表されました。

           (2022/1/18)

  


  

・ シェイクスピア

      作品リスト

              (2022/1/14)

  


  

・ 第64回 (2021年)

    ブルーリボン賞

    ノミネーション

           (2022/1/4)

  


  

・ ニール・サイモンの作品を解説した講座 ニール・サイモンの世界 が再開しました。新たに『おかしな夫婦』(映画) /『二番街の囚人』/『サンシャイン・ボーイズ』が掲載されています。

              (2021/12/12)

  


  

・ 映画『真夏の夜の夢』

             (1935)

              (2021/12/12)

  

・ A Midsummer

    Night's Dream

      (1935 film)

            (英語原文版)

  


  

・ 第43回 (2021年)

    ヨコハマ映画祭

    ベストテン・各賞

           (2022/12/4)

  


  

・ 2021年報知映画賞

    発表されました。

           (2022/12/3)

  



  

・ 第7回アカデミー賞

    (1934年)

 *1934年のアカデミー賞受賞、ノミネート作品の資料です。『或る夜の出来事』『影なき男』『模倣の人生』『コンチネンタル』『白い蘭』『奇傑パンチョ』『恋の一夜』『クレオパトラ』などのページを作成しました。

            (2021/9/18)

  


  

・ 『模倣の人生』

   〜資料(Photo Story)

 *1934年のアカデミー賞作品賞にノミネートされた『模倣の人生』の英文シナリオ (画像・動画付)を作成しました。

            (2021/8/29)

  


  

・ 『影なき男』

   〜資料(Photo Story)

 *1934年のアカデミー賞作品賞を含む主要4部門候補作『影なき男』の英文シナリオ (画像・動画付)を作成しました。ストーリーの説明には、死体の発見など、ネタバレが含まれています。ただしこの映画は探偵を主人公とするミステリー映画なので、犯人を特定する最後のセリフは省略してあります。

            (2021/8/23)

  


  

・ 『或る夜の出来事』

   〜資料(Photo Story)

 *1934年のアカデミー賞作品賞を含む主要5部門受賞作『或る夜の出来事』の英文シナリオ (画像・動画付)を作成しました。

            (2021/8/15)

  


  

・ シネマ・オリンピック

 世界の映画53か国100選 (資料作成:今村直樹)

 *2015〜19年に製作された映画から54か国の100本を選び、公式サイトや配信サービスへのリンクを作成しました。

            (2021/7/23)

  


  

・ 2021年英米演劇上演

         ラインアップ

  

 *「ザ・ドクター」(11月) をリストに追加しました。(2021/7/20)

  

 *「UNDERSTUDY/アンダースタディ」(8月) /「ネバー・ザ・シナー -魅かれ合う狂気-」(9月) /「ジュリアス・シーザー」(10月) /「プロミセス、プロミセス」(11月)をリストに追加しました。パリ国立オデオン劇場の来日公演「ガラスの動物園」(9月)は招聘中止となりました。(2021/7/14)

  

 *「NT Live 2021 アンコール夏祭り」(7〜8月) /「ウエンディ&ピーターパン」(8〜9月) / カクシンハン「ナツノヨノユメ」「シン・タイタス」(8月) /「検察側の証人」(8月) /「ガラスの動物園」(9月)(12月) /「ブライトン・ビーチ回顧録」(9〜10月)などをリストに追加しました。(2021/7/6)

  


  

・ 映画

  『夜への長い旅路』論

         (篠山芳雄)

            (2021/5/17)

  


  

・ 第1回アカデミー賞

    (1927-28年)

・ 第2回アカデミー賞

    (1928-29年)

・ 第3回アカデミー賞

    (1929-30年)

・ 第4回アカデミー賞

    (1930-31年)

・ 第5回アカデミー賞

    (1931-32年)

・ 第6回アカデミー賞

    (1932-33年)

・ 第7回アカデミー賞

    (1934年)

  

  *講座「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」の資料です。リストからノミネート・受賞作品の詳しい情報・解説を見る事ができます。

            (2021/3/17)

  


  

2020

シネマグランプリ

    (オンライン映画演劇大学映画学部選出)

  *英米作品賞は「ストーリー・オブ・マイライフ  わたしの若草物語」に、グローバル作品賞は「パラサイト 半地下の家族」に、監督賞はセリーヌ・シアマ (燃ゆる女の肖像)に決定しました。

            (2021/3/10)

  


  

2020

 第5回英米演劇大賞 (オンライン映画演劇大学・演劇学部選出)は「エブリ・ブリリアント・シング」に決定しました。同公演は最優秀イギリス演劇賞、最優秀主演男優賞(佐藤隆太)、最優秀翻訳家賞(谷賢一)も受賞しました。

           (2021/2/18)

  


  

・ 2020年(第94回)

    キネマ旬報ベストテン

     が発表されました。

              (2021/2/5)

  


  

・ 第78回ゴールデン・

グローブ賞ノミネーション

     が発表されました。

              (2021/2/4)

  


  

・ オスカー・ワイルド作

大切なのはアーネスト

     (広川治 翻訳)を掲載

     しました。

              (2021/2/4)

  


  

・ 2021年英米演劇上演

         ラインアップ

 *今年の主要ストレートプレイ公演のリストを更新しました。

             (2021/2/4)

  



  

・ 第1回アカデミー賞

    候補・受賞作一覧

  *講座「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」の資料です。リストからノミネート・受賞作品の詳細な情報を見る事ができます。

           (2020/9/1)

  


  

・ スクリーン名言集

  〜映画レポートより〜

            (2020/8/13)

  


  

・ NT Live アンコール

     夏祭り2020

                 (2020/8/1)

  

・ National Theatre

     at home 配信予定

 〜英国より世界に配信〜

「英国万歳!」

「スモール・アイランド」

「夏の夜の夢」

「ル・ブラン」

「深く青い海」

「アマデウス」を配信

                 (2020/6/13)

  


  

・ 映画レポート・作品リ

   スト(テーマ別)が発表さ

   れました。

                 (2020/4/26)

  



  

・ 第1回アカデミー賞

     (1927−28年)

     女優賞ノミネート

     『港の女』

  〜映像文化学科講座〜

「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」資料7

                 (2020/4/18)

  


  

・ 第1回アカデミー賞

     (1927−28年)

     監督賞ノミネート

     『群衆』

  〜映像文化学科講座〜

「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」資料6

                 (2020/4/16)

  


  

・ 第1回アカデミー賞

     (1927−28年)

     男優賞ノミネート

     『サーカス』

  〜映像文化学科講座〜

「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」資料5

                 (2020/4/14)

  


  

・ 第1回アカデミー賞

     (1927−28年)

     芸術作品賞受賞

     『サンライズ』

  〜映像文化学科講座〜

「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」資料4

                 (2020/4/12)

  


  

・ 第1回アカデミー賞

     (1927−28年)

     女優賞・監督賞受賞

     『第七天国』

  〜映像文化学科講座〜

「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」資料3

                 (2020/4/10)

  


  

・ 第1回アカデミー賞

 (1927-28年)男優賞受賞

     『最後の命令』

  〜映像文化学科講座〜

「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」資料2

                 (2020/4/10)

  


  

・ 第1回アカデミー賞

 (1927-28年)作品賞受賞

     『つばさ』(Wings)

  〜映像文化学科講座〜

「アカデミー賞とアメリカ映画の歴史」資料1

                 (2020/4/9)

  



  

・ 『サンシャイン・ボーイズ』

    (ニール・サイモン作)

                 (2020/3/15)

  


  

・ 2020年英米演劇上演

         ラインアップ

             (2020/4/2)

  


  

・ シネマグランプリ2019

   ノミネート・受賞の発表

            (2020/3/1)

  


  

・ 英米演劇大賞2019

   優秀賞・最優秀賞の発表

            (2020/3/1)

  


  

・ 2019年 IMDb

     外国映画ランキング

  (資料作成: 今村直樹)

                 (2020/2/18)

  


  

・ 

     アナと雪の女王

    (演技コース参考動画)

            (19/11/16)

  

・ 

   グレイテスト・ショーマン

    (演技コース参考動画)

             (19/11/10)

 


  

・ 2019年 秋期

    観劇レポート対象作品

     が発表されました。

             (19/9/16)

  


  

・ 2019年 秋期

    映画レポート対象作品

     が発表されました。

             (19/9/15)

  


  

・ 2019年英米演劇上演

         ラインアップ

             (19/8/8)

 


 

・ 『英国万歳!』で

     朗読される

     『リア王』の名場面

     が掲載されました。

             (19/5/31)

 

・ 『英国万歳!』

 〜登場人物・物語の解説

     が掲載されました。

             (19/5/30)

  


  

・ ミュージカル

 She Loves Me のすべて

     が掲載されました。

             (19/5/5)

  


  

・ 映画学部主催の新講座

   アカデミー賞と

   アメリカ映画の歴史

     講座内容・予定が

     発表されました。

             (19/5/1)

  


  

・ 英米演劇大賞2018

    (受賞作・受賞者の発表)

  


  

・ シネマグランプリ2018

 (受賞作・受賞者の発表)

  


  

・ 2018年 (第92回)

     キネマ旬報ベストテン

  


  

・ 2018年 IMDb

     外国映画ベストテン

    (資料作成: 今村直樹)

 


  

・ 2017年 IMDb

     外国映画ベストテン

    (資料作成: 今村直樹)

  




  

 【シェイクスピア学科】

  

        (講師: 広川治)

 講座概要・予定

 第1回  シェイクスピア

      ってヤバくない?

 第2回  恋人たちの

     シェイクスピア

 第3回  軍隊で

      シェイクスピア?

 第4回 アクション・スターがハムレット

 第5回  俳優たちの『ハムレット』

 第6回  国王のための

     名せりふ

 第7回  宇宙の彼方の

      シェイクスピア

  




  

   【アメリカ演劇学科】

  

 『エンジェルス・イン・

       アメリカ  第1部』

      (解説: 篠山芳雄)

  

 アーサー・ミラー

  『セールスマンの死』研究

  (講師: 篠山(ささやま)芳雄)

  


  

 

  (講師: 小島真由美)

 講座概要

 作品リスト

 映画リスト

 第1回入門編

 第2回 『カム・ブロー・

         ユア・ホーン』

 第3回 『はだしで散歩』

 第4回 『おかしな二人』

 第5回

『スウィート・チャリティ』

  映画『カビリアの夜』

  初演 (1966年)

  映画化 (1968年)

                   *

 第6回 映画 『紳士泥棒

      大ゴールデン作戦』

 第7回 『星条旗娘』

 第8回『プラザ・スイート』

 第9回 『浮気の終着駅』

 第10回 『ジンジャー

      ブレッド・レディ』

  




  

   【イギリス演劇学科】

  

・ オスカー・ワイルド

  『まじめが大切』論

      (講師: 石田伸也)

  

・ テレンス・ラティガンを観る:『深く青い海』

        (講師: 広川治)

 

・ 『ローゼンクランツと

   ギルデンスターンは

         死んだ』

      (解説: 石田伸也)

  

・   ミュージカル

『ビリー・エリオット』

   〜英語の歌詞に見る

       団結、自由、信念〜

        (講師: 広川治)

  


  

    

      + 観劇レポートより

  




  

 【映像文化学科】

  

・  カズオ・イシグロ

 『日の名残り』の映画化

      (講師: 篠山芳雄)

  

・ キネマ旬報ベストテン分析

      (講師: 今村直樹)

  

  <2017年夏>

     世界の映画を観る、

        映画で世界を見る

  


  

    

  




  

 (詳細な目次については

  CONTENTSページ参照)

  

  PageTop▲

  

   Music for Live Show

    (2019年10月)

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM