『スウィート・チャリティ』(第3部)

  • 2016.11.20 Sunday
  • 23:00

 

 

講座「ニール・サイモンの世界第5回『スウィート・チャリティ』です。今回は山中達弘先生と桑原美智子先生のお力もお借りして講座を進めます。山中先生には原作である映画『カビリアの夜』について評論をお願いしました(第1部)。桑原先生には初演の舞台について解説(第2部)していただいているほか、映画化については、私(小島真由美)との対談(第3部)という形でも参加していただいています。このページは第3部、映画『スイート・チャリティ』のページです。(2016年11月20日)


 

 

     アメリカ演劇学科講座

   ニール・サイモンの世界

 

     

  

 第5回 『スウィート・チャリティ』

 

 第3部 映画『スイート・チャリティ』

 

  講師:桑原美智子(映画学部教授)

  講師:小島真由美(演劇学部専任講師)

 

 

<目次>

1.映画版のスタッフ/キャスト

2.対談〜映画『スイート・チャリティ』の魅力

3.日本での上演

 

映画版の場合は日本公開時のタイトルを尊重して題名を“スウィート”でなく“スイート”と表記します。


 

  1.映画版のスタッフ・キャスト

 

映画『スイート・チャリティ』

原題:Sweet Charity

公開:1968年(舞台初演の3年後)

日本公開:1969

監督:ボブ・フォッシー

原作:舞台『スウィート・チャリティ』

脚本:ピーター・ストーン/ニール・サイモン

撮影:ロバート・サーティース

衣装デザイン:イーディス・ヘッド

出演:

 シャーリー・マクレーン・・・チャリティ

 ジョン・マクマーティン・・・・オスカー

 リカルド・モンタルバン

      ・・・ヴィットリオ・ヴィダル

 チタ・リヴェラ・・・・・・・・ニッキー

 ポーラ・ケリー・・・・・・・・・ヘレン

 サミー・デイヴィス・Jr・ビッグ・ダディ

 バーバラ・ブーシェ・・・・・・ウルスラ

 スタビー・ケイ・・・・・・・・ハーマン

候補:アカデミー賞ミュージカル音楽賞、

    美術・装置賞、衣装デザイン賞

 

   

     日本公開時のパンフレット

 


 

 

2.対談

  〜映画『スイート・チャリティ』の魅力

 

  桑原美智子(映画学部教授)

  小島真由美(演劇学部専任講師)

 

 小島: 先生のご希望どおり『スイート・チャリティ』を講座の第5回としてクローズアップさせていただきました。それも3部構成にショーアップした豪華版です!

 桑原: どうもありがとう。感謝感激。でも何よりも嬉しいのは、こうして真由美ちゃん…ごめんなさい、小島先生(笑)と自由に映画について語り合えるということ。それも私の大好きなシャーリー・マクレーンの映画について。でも今回映画をDVDで見直してみて感じたのは、やっぱりこの映画はまず初めにボブ・フォッシーありき、なのよね。それもボブ・フォッシーがエンジンをかけてボブ・フォッシー・ワールドを本格的にスタートさせた記念すべき映画であるということが改めてよく分かったわ。

 小島: ニール・サイモンの入る余地はなさそうですね(笑)。でも実際、映画化の方の脚本はサイモンでなく、ピーター・ストーンというサイモンより3つ年下のシナリオライターが書いているんです。オードリー・ヘプバーン主演のミステリー・コメディ『シャレード』(1963)を書いた人で『がちょうのおやじ』(1964)というコメディ映画ではアカデミー賞脚本賞を受賞している人です。

 桑原: どうしてニール・サイモンは映画の脚色を引き受けなかったのかしら。彼はいつも自分の作品の映画化ではシナリオを書いているんでしょう?

 小島: ひとつには、元々自分のオリジナルの劇作ではなかったからだと思います。自伝によれば、舞台の方の企画段階でフォッシーは自分が書いた台本に笑いが足りないと言って、サイモンに台本の書き直しを依頼したんですが、サイモンいわく、「笑いが足りないのではない。まったくなかったのだった」(自伝p.242)そうです。才能ある友人夫妻のために書き直したという程度の感覚だったようなんです。自伝には自分なら書かない物語であることがこう書いてあるんです。「いつもの私なりの書き方、つまりリアリティ感覚をもって芝居を書くことができないと思った。私にはチャリティの実像が、彼女がどういう育ちで、どうしてダンスホールで働くようになったかということが想像できなかった。」

 桑原: 確かに映画『カビリアの夜』の翻案だし、ニール・サイモンが本来書くコメディとは違ったものがあるわね。中流階級の喜劇世界からはみ出しているってことかしら。

 小島: でも幸せをつかめない不器用な主人公なら、たとえば『ジンジャーブレッド・レディ』があるでしょう? そういう広い意味ではサイモンの世界と言える部分もあると思うんです。ただし『スイート・チャリティ』が映画化(1969)された頃は、最もサイモンも忙しかった時期で、改めて脚本を担当する時間的余裕がなかったのかもしれません。舞台の初演が1966年で、その頃にサイモンには『はだしで散歩』と『おかしな二人』の映画脚本の仕事があったほか、68年には新作『プラザ・スイート』の上演があり、ミュージカル『プロミセス、プロミセス』(68)の台本も執筆していたのですから。

 桑原: そのストーンとかいう脚本家はサイモンのストーリーや舞台の台詞をほとんどそのまま活かしてるわよね。

 小島: ええ、曲のカットや新曲の追加などもありますが、大幅な脚色ではないですね。でもこれから舞台の各シーンが映画ではどのような場面になっているか比較しながら、映画『スウィート・チャリティ』の魅力を探っていきたいと思います。

 桑原: ボブ・フォッシーとシャーリー・マクレーンの魅力も充分探れることになりそうね。

 

    

    シャーリー・マクレーンに

    ダンスを指導するボブ・フォッシー

 

  

 

ニューヨークは私のものよ”

 小島: 映画の冒頭は60年代までの多くのミュージカル映画と同じで、映像なしで序曲のみが流れます。それからタイトルバックの映像になりますが、早速、舞台とは違うチャリティの姿が見られますね。

 桑原: そうそう、最初からシャーリーったらお茶目でとっても可愛いの。ニコニコしながら本当に楽しそうにアパートから出てきて、スキップしながら出かけるのよね。でも「男に愛されたかったある女の物語」(The adventures of a girl who wanted to be loved)って字幕がすぐ出るから、ああ、また恋愛に不器用な女の子の役なんだなって最初に観た時は思ったわ。

 小島: 確かにそれまでの映画のシャーリー・マクレーンって、優しいsweetな女性なのに恋愛では苦労する役が多かったですね。

 桑原: そうなのよ。じゃじゃ馬の役もあるけれど、代表作の『アパートの鍵貸します』(60)では彼女が会社の上司との不倫の関係に悲観して自殺未遂をしてしまうところから始まる話だったでしょう? 『恋の売り込み作戦』(59)というラブ・コメディでは、田舎から理想の結婚相手を求めてニューヨークに上京してきた娘の役で、到着したとたんスーツケースは盗まれる、からだ目的の男性に言い寄られたりと、散々な目に遭ってしまうんだから。この映画、マイナーな作品だけれども、シャーリーは演技が評価されてベルリン国際映画祭で女優賞を受賞しているのよ。ミュージカル映画の出演経験なら華麗なバレエダンスまで披露した『カンカン』(60)があったし、シャーリーにとってチャリティは本当に適役だったと思うわ。そう言えば『あなただけ今晩は』(63)では『スウィート・チャリティ』の原作のカビリアと同じように娼婦の役だったじゃない?

 小島: そう、そう。そうでしたよね。でも舞台でチャリティを演じたミュージカル女優グウェン・ヴァードンはボブ・フォッシーの奥さんだったのに、なぜ起用されなかったのかな。

 桑原: グウェンの方はやっぱり舞台で映える女優なのよね。映画化の際に初演の女優が使われないってよくあるでしょ? スクリーンだとどうしても美貌や知名度が優先されちゃう。『欲望という名の電車』ではジェシカ・タンディがビビアン・リーに代わったし、『マイ・フェア・レディ』でもイライザの役が、まだ知名度の低かったジュリー・アンドリュースからオードリー・ヘップバーンに代えられてしまっている。それだけじゃなく年齢の問題もあったわ。『スウィート・チャリティ』の初演の時、グウェン・ヴァードンは40を越えていたのよ。舞台なら問題ないけど、やっぱりカメラの前だとちょっとねえ。

 小島: シャーリー・マクレーンは何歳ぐらいだったんですか?

 桑原: 1934年4月24日生まれなので、映画撮影時は30代半ばってところ。まだ20代にも見えるから、チャリティをアラサーのダンサーと考えればちょうどよかったんじゃないかしら。

 小島: 映画では本当に元気一杯にニューヨークの街をスキップして歩いていますね。仲の良さそうなカップルを見ても、自分もこれからカレシに会えるからニコニコと余裕で笑顔を向けてるし、目の不自由な物乞いの男が実は偽者だと分かっても笑って許してチップのようにお金をあげちゃってる。家具屋さんのベッドの上でもピョンピョンとジャンプして大はしゃぎしてますもんね。

 桑原: それを店の外からウィンドウ越しに大勢の通行人が見ていて拍手するのよね。新婚生活用のベッドを選んでたんでしょう。このあとにランジェリーショップでお買いもの、銀行でお金を引き出して、指輪を購入…と新生活の準備に夢いっぱいというルンルン気分。

 小島: 1曲目のナンバー「今日はニューヨークが私のものみたい」(Today I feel New York is really my personal property)っていう気持ちを事前に実際のニューヨークのロケでユーモラスに見せてくれています。でもこの曲って、舞台の方にはなかったナンバーだったんですね。

 桑原: そう。舞台で最初に歌われるのは「あなたって本当にステキ」(You Should See Yourself)だから。でも歌を入れ替えて、1曲目としては実際のニューヨークの映像を活かしていると同時に、チャリティの弾んだ心も伝える効果的な歌になっていると思うわ。でも残念ながらチャリティは舞台も映画も原作のカビリアのように橋の上から落とされてしまうのよね。

 

 

 

 

 

ボブ・フォッシー・ワールド

 小島: そこまでされても楽屋でまたチャーリーが電話してくると信じてるチャリティが痛々しくて…。さすがに私も橋から落とされたことはないけど、チャリティがロッカーにまだ元カレの写真が残してるあの切なさ、何だか分かる気がする。

 桑原: その辺はあえて詳しく聞かないでおくわね。とにかくチャリティって、どこに行っても純粋すぎて浮いてしまうような哀しさがあるの。あえてチャーリーを“Big Spender”のダンス・メンバーに入れなかったのも正解だったかもしれない。実際は友人たちと同じように当然歌ってていいわけだけど、セクシーで挑発的な仲間たちと同等に並べるべきキャラじゃないのよね。

 小島: その“Big Spender”(気前のいいお客さん)の歌の場面ですけど、ニール・サイモンも最初にボブ・フォッシーから曲を聞かされた時、魅力的で思わずひきつけられたと言っています。

 桑原: “Big Spender”って、『シカゴ』の“All That Jazz”に通じるボブ・フォッシー・ワールドのオープニング曲って言えると思うの。フォッシーの舞台や映画って、セクシーに挑発する夜の女性たちが妖艶に迫ってくるでしょう? でもこの場面、歌やダンスの良さだけでなくて、カメラワークや画面の構図が優れているのよね。映画では横一列に並んで踊って歌うダンサーたちだけでなくて、手前のテーブルに座っている客の手がアップでとらえられている。タバコを手にしたり、ウエイターに紙幣を渡したりって具合。ダンサーたちを見せるアングルにも常に変化があるし。

 

 

 

 小島: チャーリーが映画スターのヴィットリアと出会ってから訪れる高級クラブの“Rich Man’s Frug”も見事なボブ・フォッシー・ワールドですね。

 桑原: このシーン、最高! フォッシーのコリオグラファー(振付家)としての才能が一気に開花した名場面。実際のところ、フォッシーはこの場面ではチャリティのことなんかどうでもよくなってしまってショータイム作りに専念しているのよね。ダンスは3部構成で“Aloof” という気取った上流階級の紳士淑女や高級ホステスを踊らせるダンスに始まって、男女の駆け引きをボクシングに見立てた“The Heavy Weight”、そして“Big Finish”でさらに盛り上がる。まあ、年がバレるから言いたくないけど、若い頃は夢中になって見てたわ。

 小島: マネして踊ったりしてたんじゃないですか?

 桑原: まあ、ご想像にお任せします。

 小島: センターの美人ダンサーが魅力的ですね。

 桑原: スザンヌ・チャーニーというスタイル抜群のダンサー。この映画の52人のダンサーたちはほとんど舞台の出演者なんだって。表現しているのは映画『キャバレー』の“Money”のような人間の欲を極めた人たちの社会への諷刺。その誇張された表現が見事だわ。

 

 

 

    

 

小島: ヴィットリオの豪邸で踊るチャリティのナンバー「今の私を見せたいわ」はどうですか。

桑原: 楽しく明るいナンバーで本当にシャーリー・マクレーンがチャーミングで可愛いわよね。でもいきなり山高帽やステッキを渡されて踊るあたり、やっぱりボブ・フォッシー・ワールドだわ。ただしチャリティが『ウエストサイド物語』に出ていたリタ・モレノ扮する友人らと踊る「もっとましなことがあるわ」には『ウエストサイド物語』の「アメリカ」の影響が見られるわね。踊るのも建物の屋上の空間だし。ラテン的な曲のノリやダンスにも似たところがある。

 

 

 

  

 

ニール・サイモン・ワールド

 小島: ではこの辺でニール・サイモン・ワールドも少し探らせてくださいね。職業紹介所で相手にされなかったチャリティは帰りのエレベーターが故障して閉じこめられてしまい、いっしょに乗り合わせたオスカーと出会います。『カム・ブロー・ユア・ホーン』や『はだしで散歩』でアパートの階段を使って笑いをつかんでいたサイモンですけど、自身が閉所恐怖症だったこともあり、ここではエレベーターを喜劇のネタにうまく使っています。このオスカーとの出会いから後半は『カビリアの夜』にはないサイモンの都会喜劇らしい物語展開になっていくんですよね。映画では「何があっても負けない私」の代わりに新曲「イケメンだわ」(It’s a Nice Face)が歌われます。閉所恐怖症のオスカーが失神して倒れてしまい、その顔を見て歌う歌です。

 桑原: このオスカーを演じているジョン・マクマーティンって初演の舞台にも出ていたようね。気の弱いインテリの税理士らしさがよく出ているわ。私にはチャーリーが思うほどNice Faceには見えないんだけど、今までと違うタイプの男性の優しい面立ちに惹かれたというならわかるわ。

 小島: オスカーって名前、『おかしな二人』の主人公が同じだけど、むしろ家を出てオスカーのところに身を寄せるフィリックスの方に近いキャラクターです。でもフィリックスが劇中で対立を生み出したような強いこだわりや主張は持っていなくて、情けない部分が目立つキャラクター。だって会ったとたんにエレベーターで倒れてしまうんですから。

 桑原: 情けなさって喜劇の主人公に必要な性格の一つよね。チャリティも今まで男に貢いでばかりでタイプも簿記もできないに、能天気に職を探しているんだから情けないと言えば情けないわ。オスカーにも銀行で働いていると思わせてしまっているし。

 小島: オスカーだって税理士として職業は立派ですけど、精神的には社会に順応してませんよね。オスカーとチャリティって、講座の第1回「ニール・サイモン入門」で取り上げた「ニール・サイモンを考えるための13にキーワード」に照らし合わせて考えると、二人とも「負け犬たち」なんですよね。「直感的な磁石はあっちと教えてくれているのに、こっちの道を選んでしまう、そんな人たち」…これはサイモン自身の言葉です。

 

 

 

 

 

ハッピーエンド版の存在

 小島: このあとの映画の展開はだいたい舞台と同じプロットです。ただしコニー・アイランドの遊園地でのデート場面はありません。舞台では遊園地の場面のあとに自分の本当の仕事のことを話せないチャリティが不安な心の内を「どこへ行けばいいの」と歌うんですが、映画では別れを告げられてから家に戻る際の映像に流れる歌として使われています。

 桑原: 後半では宗教集会で歌われる「リズム・オブ・ライフ」をビッグ・ダディとしてサミー・デイヴィス・ジュニアが歌っているのよね。大スターよ。日本でもサントリーのウィスキーのコマーシャルに出演していたくらい。

 小島: クライマックスは、やっぱりプロポーズされたあとの喜びを歌って踊る「私はブラスバンド」でしょうね。

 桑原: 映画で一番生えているミュージカル・ナンバーよ。だってマンハッタンでダンサーたちとチャリティが踊る姿をロケしているんですもの。シャーリー・マクレーンも本当に生き生きとしているし、振付やダンスの仕上がりもお見事。舞台と違ってチャリティにもブラスバンドの制服を着せているから、バックダンサーとの統一感が感じられるわ。

 

 

 

 小島: 舞台ではファンダンゴでのパーティーでの帰り道に別れを切り出されていますが、映画では戸籍役場まで行くんですよね。あと一歩というところで「君とは結婚できない」と言われてしまう。昔からあるメンタル・ブロックがチャリティのダンサーとしての過去を許せないとオスカーは話しています。「今まで何人!」とまで言われてしまうんですから。

 桑原: 最低。いっしょにならなくて良かったのよ。

 

 

 

 小島: まあ、確かに…。でも、DVDの映像特典にもあるんですが、オスカーと結ばれるハッピーエンド・バージョンがあるんです。

 桑原: そんなの見たくないわ。

 小島: 舞台ではオスカーが公園でチャリティを押しのけるようにして去ってしまい、そのはずみで彼女がまた池に落ちた後に岸へとたどり着いて「私は負けない」(I’m the Bravest Individual)を歌って幕になりますよね。でも映画では別れた後にチャリティが一人でセントラルパークに来て寝こんでしまい、翌朝フラワー・ムーブメントの若者たちに花を渡されから元気を取り戻し、公園にいた老人に“Good morning”と挨拶をして街へ出て行くというエンディングです。最後に「望みを捨てずに生きたチャリティでした」(And she lived hopefully ever after.) という字幕が映し出されて映画は終わります。

 

 

 

 桑原: じゃあ、ハッピーエンド版だとどうなるの?

 小島: 別れた後に一人部屋に戻ったオスカーの場面があって、戻ったとたんに「酸素が足りない」って閉所恐怖症が陥って外に出るんです。そして歩いているうちにセントラルパークにたどり着き、ちょうど橋の上に一人佇むチャリティを見つけます。彼女が身投げをしてしまうと勘違いしたオスカーはあわてて彼女の元へ走り寄るんですが、橋の上でころんでチャリティとぶつかってしまい、二人とも池に落ちてしまうんです。勘違いをしていたオスカーにチャリティは池の中で話します。「どん底の時に自殺だなんて。あとは良くなるだけ」(That would be kinda stupid to kill myself when things are at their rottenest. At that point they can only get better.)なんだって。そしてオスカーが改めてプロポーズするっていうエンディングです。

 桑原: オスカーといっしょになってチャリティの人生って本当に良くなったかしらねえ。やっぱりボブ・フォッシーは安易な幸福を描きたくなかったんじゃないかしら。

 小島: 喜劇的には橋の上から二人共、ドボンと落ちて、今言ったような胸にグッとくる台詞があって…というのも悪くないとは思いますが、チャリティが最後に見せる悲しいまでの生きる勇気、楽天的な精神も大切なメッセージである気がします…私にとっても。

 桑原: その辺はあえて詳しく聞かないでおくわね。(笑)

 小島: では最後にDVDの特典映像にあるメイキングの短編からボブ・フォッシーとシャーリー・マクレーンの言葉(字幕より)、そして自伝からニール・サイモンの言葉を引用して対談を終りにしたいと思います。今日は先生、ありがとうございました。

 桑原: いいえ、どういたしまして。

 

 私が何よりも(チャリティを)好きなところは…何よりもとことん楽天家だということです。どんなにひどい状況に居ても、いつも楽天的に考えてしまうのは彼女の悲しさでもあるんですね。(シャーリー・マクレーン)

 

 スイート・チャリティを演じるシャーリー・マクレーンを見ると、希望と好意、痛み、当惑…サーカスでも見ている気分になったものです。何かしら良いものがあれば、もう大丈夫だと知ってましたから。(ボブ・フォッシー)

 

 (デトロイトの初日の公演で脚本を絶賛されて) みんな間違っている。たしかにものすごく笑いはとれたが、グエンとアンサンブルの人たちが踊ったボブの振り付け、それにサイ・コールマンとドロシー・フィールズの曲の方がはるかに独創的で、大胆で、私のささいな貢献など足元にもおよばなかった。…私は『はだし』と『おかしな二人』の連続ヒットで、批評家にひいき目に見られている。(ニール・サイモン『書いては書き直し』p.255-56)

 


 

      3.日本での上演

 

 ☆『スウィート・チャリティ』 

    1988年10月20日〜11月3日

   (俳優座劇場)

    演出: 野沢那智

    企画・製作:劇団薔薇座

    出演: 戸田恵子、団次朗

 

 ☆『スウィート・チャリティ』 

   1992年10月24日〜11月11日

  (東京芸術劇場中ホール)

   演出:小林裕

   出演:島田歌穂、太川陽介、中丸忠雄

      ミッキーカーチス、伊藤弘美

      畑玲子、富田直美、山下清美

      吉元和彦、緑川誠ほか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆『スウィート・チャリティー』 

   2006年 (ル テアトル銀座)

   演出・振付: 川崎悦子  

   翻訳・訳詞:黒田絵美子

   出演: 玉置成実、岡田浩暉、樹里咲穂 

      初風緑、赤坂泰彦

      岡 千絵・石井一孝

 

 

 

 ☆『スウィート・チャリティー』

   2016年10月23日ー11月2日

   (天王洲アイル劇場)

   主催:ネルケプランニング

   上演台本・演出・振付:上島雪夫

   音楽監督:玉麻尚一

   CAST

    チャリティ:知英

    ヴィットリオ・ヴィダル:平方元基

    ヘルマン:坂元健児

    ダディ・ブルーベック:黒須洋壬

    ニッキー:原田薫

    ヘレン:ジェニファー

    オスカー:岡幸二郎

 


講座「ニール・サイモンの世界」の第6回は映画『紳士泥棒・大ゴールデン作戦』(講師:山中達弘ほか)です。

 

 

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contents

  

    演劇学部推薦公演(2019年秋期)

   

  

    映画学部推薦作品(2019年秋期)

   

  



  

オンライン映画演劇大学は映画と

演劇を幅広く紹介、解説、研究する

オンライン上の教育・文化活動です。

文部科学省の認可は受け ていませんが、実際の大学での授業と連携した情報や研究も掲載しています。

  



  

   <9月の推薦作品>

  ・ 演劇学部推薦公演

  ・ 映画学部推薦作品

  



  

     <新着記事・講座>

  

New

・ 2019年 秋期

      観劇レポート対象作品

     が発表されました。

             (19/9/16)

New

・ 2019年 秋期

      映画レポート対象作品

     が発表されました。

             (19/9/15)

New

・ 2019年 IMDb

     外国映画ベストテン

    (資料作成: 今村直樹)

             (19/8/24)

Update

・ 2019年英米演劇上演予定

             (19/8/8)

 

・ 『英国万歳!』で

     朗読される

     『リア王』の名場面

     が掲載されました。

             (19/5/31)

 

・ 『英国万歳!』

   〜登場人物・物語の解説

     が掲載されました。

             (19/5/30)

 

・ ミュージカル

   She Loves Me のすべて

     が掲載されました。

             (19/5/5)

 

・ 映画学部主催の新講座

   アカデミー賞と

     アメリカ映画の歴史

     講座内容・予定が

     発表されました。

             (19/5/1)

 

・ オンライン映画演劇大学

     英米演劇大賞2018

    (受賞作・受賞者の発表)

 

・ オンライン映画演劇大学

     シネマグランプリ2018

    (受賞作・受賞者の発表)

 

・ 2018年 (第92回)

     キネマ旬報ベストテン

 

・ 2018年 IMDb

     外国映画ベストテン

    (資料作成: 今村直樹)

 


  

 

 

 〜優秀賞の発表と選評〜

  


  

・ 2017年 IMDb

     外国映画ベストテン

    (資料作成: 今村直樹)

  




  

<過去の主要記事・講座>

  

     【シェイクスピア学科】

  

        (講師: 広川治)

・ 講座概要・予定

・ 第1回  シェイクスピアって

                 ヤバくない?

・ 第2回  恋人たちの

                 シェイクスピア

・ 第3回  軍隊で

            シェイクスピア?

・ 第4回  アクション・スター

            がハムレット

・ 第5回  俳優たちの

                 『ハムレット』

・ 第6回  国王のための

                 名せりふ

・ 第7回  宇宙の彼方の

                 シェイクスピア

  




  

     【アメリカ演劇学科】

  

・  『エンジェルス・イン・

       アメリカ  第1部』

      (解説: 篠山芳雄)

  

・  アーサー・ミラー

  『セールスマンの死』研究

  (講師: 篠山(ささやま)芳雄)

  


  

 

  (講師: 小島真由美)

・ 講座概要

・ 作品リスト

・ 映画リスト

・ 第1回入門編

・ 第2回 『カム・ブロー・

              ユア・ホーン』

・ 第3回 『はだしで散歩』

・ 第4回 『おかしな二人』

・ 第5回

    『スウィート・チャリティ』

 原作: 映画『カビリアの夜』

          初演(1966年)

映画『スウィート・チャリティ』

                   *

・ 第6回 映画 『紳士泥棒

          大ゴールデン作戦』

・ 第7回 『星条旗娘』

・ 第8回 『プラザ・スイート』

・ 第9回 『浮気の終着駅』

・ 第10回 『ジンジャー

               ブレッド・レディ』

  




  

     【イギリス演劇学科】

  

・  ワイルド流喜劇のレシピ

      オスカー・ワイルド

      『まじめが大切』論

      (講師: 石田伸也)

  

・ テレンス・ラティガンを観る

         『深く青い海』

        (講師: 広川治)

 

・    『ローゼンクランツと

ギルデンスターンは死んだ』

      (解説: 石田伸也)

  

・   ミュージカル

    『ビリー・エリオット』

   〜英語の歌詞に見る

       団結、自由、信念〜

        (講師: 広川治)

  


  

    

      + 観劇レポートより

  




  

 【映画学部・映像文化学科】

  

・  カズオ・イシグロ

   『日の名残り』の映画化

      (講師: 篠山芳雄)

  

・ キネマ旬報ベストテン分析

      (講師: 今村直樹)

  

  <2017年夏>

     世界の映画を観る、

        映画で世界を見る

  


  

    

  




  

 (詳細な目次については

  CONTENTSページ参照)

  

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   演劇学部推薦公演

    (2019年8月)

  

   ヘンリー六世 三部作

       リチャード三世

       (カクシンハン)

作: シェイクスピア

翻訳: 松岡和子

演出: 木村龍之介

主演: 河内大和、真以美

        (7/25〜8/12)

  


  

       人形の家part2

         (パルコ)

 作: ルーカス・ナス

 翻訳: 常田景子

 演出: 栗山民也

 主演: 永作博美

        (8/9〜9/1)

  


  

    ブラッケン・ムーア

          (東宝)

作:アレクシ・ケイ・

         キャンベル

翻訳: 広田敦郎

演出: 上村聡史

主演: 岡田将生、木村多江

        (8/14〜27)

  

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 映画学部推薦作品 (新作)

  

 (2018年洋画推薦作品)

   


  

 『スリー・ビルボード』

   2/1〜  公式サイト

 『タクシー運転手

    約束は海を越えて』

   4/21〜  公式サイト

 『フロリダ・プロジェクト

     真夏の魔法』

   5/12〜  公式サイト

 『ワンダー  君は太陽』

   6/15〜  解説ページ

 『ブリグズビー・ベア』

   6/23〜  公式サイト

  


  

 『判決、

     ふたつの希望』

   8/31〜  公式サイト

 『1987、

     ある闘いの真実』

   9/8〜  公式サイト

 『バッド・ジーニアス』

   9/22〜  公式サイト

 『search サーチ』

   10/26〜  公式サイト

 『ボヘミアン・ラプソディ』

   11/9〜  公式サイト

 『アリー/ スター誕生』

   12/21〜  公式サイト

  



  

 (2019年1月推薦作品)

 『バジュランギおじさんと、

   小さな迷子』

   1/18〜  公式サイト

  


  

 (2019年2月推薦作品)

 『メリー・ポピンズ

     リターンズ』

   2/1〜  公式サイト

 『女王陛下のお気に入り』

   2/15〜  公式サイト

  


  

 (2019年3月推薦作品)

 『グリーンブック』

   3/1〜  公式サイト

 『ブラック・クランズマン』

   3/22〜  公式サイト

  


  

 (2019年4月推薦作品)

 『僕たちのラストステージ』

   4/19〜  公式サイト

 『幸福なラザロ』

   4/19〜  公式サイト

  


  

 (2019年5月推薦作品)

 『ドント・ウォーリー』

   5/3〜  公式サイト

 『僕たちは希望という

      名の列車に乗った』

   5/17〜  公式サイト

  


  

 (2019年6月推薦作品)

 『SANJU/サンジュ』

   6/15〜  公式サイト

 『パピヨン』

   6/21〜  公式サイト

  


  

 (2019年7月推薦作品)

 『COLD WAR

      あの歌、2つの心』

   6/28〜  公式サイト

 『Girl/ガール』

   7/5〜  公式サイト

  


  

 (2019年8月推薦作品)

『存在のない子供たち』

   7/20〜  公式サイト

 『シークレット・

      スーパースター』

   8/9〜  公式サイト

  

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